IT法務・AI・暗号資産ブロックチェーンNFT・web3の法律に詳しい弁護士|中野秀俊
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ドローンレースを行うときの法律的注意点を弁護士が解説

ロボット・AI・ドローンの法律

ドローンレースが盛んに

ドローンが普及にするにつれて、ドローンレースも頻繁に開催されるようになりました。

今年に入ってからも、ハウステンボスで、イルミネーションのなか、「ジャパン・ドローン・チャンピョンシップ」が開催されました。

2016年3月では、ドバイで、賞金総額約1億2000万円のワールドドローングランプリが開催されています。

【ドバイ】ドローンレース世界大会速報、15歳が最速タイム叩き出す

このようなドローンレースを開催する場合、どのような法的規制があるのでしょうか。

屋外でレースをする場合の法律的注意点

屋外でのドローンの飛行は、航空法が適用されます。

屋外でドローンレースをする場合、上級者などは、FPV(First Personal View)(ヘッドマウントディスプレイやモニターを用いてドローンから送られてくる映像を見ながら、遠隔操作飛行をする方法)を取ります。

この場合には操縦者は、直接目視するわけではないので、航空法上の目視外の飛行にあたり、国土交通大臣の承認が必要になります。

また、航空法では「多数の者が集まるイベントの上空」で、ドローンを飛ばすのは、国土交通大臣の承認が必要とされています。

ドローンレースは多数の観客が集まるため、多数の物の集合する催しの上空での飛行にあたり、国土交通大臣の承認が必要になるのです。

屋内でレースをする場合

ドローンレースを屋内で開催する場合には、航空法は適用されませんので、国土交通大臣の許可は、不要です。

ただし、航空法の規制が課されない場合であっても、ドローンレースを観戦する観客の安全面への配慮は不可欠です。

ドローンレースでは、ドローンがコース外に飛び出すことが容易に想定できるので、主催者としてはコースを外れたドローンが観客に危害を加えることがないよう安全対策をする必要があるのです。

具体的にはドローンが飛行レーンから観客席に出ないように、ネットなどで、コースと観客席とを区切る事やドローンが飛び出すことを観客に十分周知するなどの措置を取る必要があります。

ドローンレースの例ではないですか、野球場の例で、ファールボールが観客にぶつかって失明した事件があります。

この事件で、裁判所は、野球場にはファールボールが観客にぶつかる事態が想定されることから、球団はファールボールが飛来する危険性が相対的に高い席と低い席があることを具体的に告知するなど安全対策を講じるべきであったとして、安全配慮義務違反による損害賠償責任を認めた判例があります。(札幌高等裁判所平成28年5月20日)

このようにドローンレース主催者は、観客に被害が被らないように、十分な対策や告知を取る必要があるのです。