前回は、契約書の解除条項で、
ベンチャー企業乙社の立場に立った場合の
具体的な修正点を見ていきました。
IT企業経営者が押さえておくべき契約書のチェックポイントvol.3
今回も、前回の続き…
ベンチャー企業乙社の立場からは、
まだまだ、突っ込みどころが満載なのです!
以下の条項のうち、
設立間もないベンチャー企業乙社
の立ち場になったとき、
問題があるのは、どこでしょうか?
第〇条 甲及び乙は、次の各号のいずれかに該当するに至ったときは、
相手方はなんらの通知、催告を要せず即時に
本契約の全部又は一部を解除できるものとする。
(1) 自己振出の手形又は小切手が不渡処分を受ける等の支払停止状態となったとき。
(2) 差押え、仮差押え、仮処分若しくは競売の申立てがあったとき、又は租税滞納処分を受けたとき。
(3) 破産、会社整理(任意整理を含む)開始、会社更正手続開始若しくは民事再生手続開始の申立てがあったとき、又は解散に至ったとき。
(4) 事業の全部又は重要な一部を第三者に譲渡し、又はしようとしたとき。
(5) 本契約に基づく債務を履行せず、相手方から相当の期間を定めて催告を受けたにもかかわらず、なお、その期間内に履行しないとき。
(6) 財産状態もしくは信用状態が悪化し、又はその恐れがあると認められる相当の事由があるとき。
前回も申し上げましたが、
この条項は、
ウェブ上にある契約書の雛形
です。なので、法律上問題はないのです。
ただ…設立間もないベンチャー企業乙社
にとっては、問題があるのです!
前回は、(6)に問題あり
お話ししました。
今回は、
(4) 営業の全部又は重要な一部を第三者に譲渡し、又はしようとしたとき。
解除されるという条項があります。
なぜ、この条項が問題かというと…
会社を経営していると…
事業を整理する
不採算部門を他の会社に移すなどして、
存続を図るってことがよくあります(いわゆるM&A)。
特に動きの速いITベンチャー企業では、
よく行われます!
乙社が事業整理のため、
不採算部門をカットして、
「よし!これから!」ってときに、
甲から「事業の一部を譲渡したよな?
(4)に事業の全部又は重要な一部を
第三者に譲渡したときに、
解除できるって書いてあるでぇ~。」
って言われたら、どうします?
「そんな殺生な~(´д`ι)」ってなりますよね!
なので、乙社としては
(4)も削除したいです!
このように、契約書のチェックは
単に法律的なチェックだけでなく、
自社にとって、経済的にも
不利にならない(有利にする)
という観点が、とても重要なのです
一つ言えるのは、
契約書なんてググれば雛形あるし、
大丈夫っしょ!
って思っていると、痛い目に遭うということ。
ネットに落ちている雛形は
あなたの会社のことなんて
考えてくれていないんですから…(ロ_ロ)ゞ