今年の4月、妻のスマートフォンに「遠隔操作アプリ」を勝手にインストールしたとして、男性が逮捕されました。
その罪名は、不正指令電磁的記録供用罪。男性は容疑を認めているということです。
参考記事:妻のスマホに“遠隔操作アプリ”で逮捕 夫でも罪になる「法律」
この男性は、遠隔操作で、妻のスマホ内のメールを閲覧したり、居場所を特定できるアプリを無断でインストールした疑いがもたれています。妻がスマホに知らないアプリが入っているのに気づき、警察に相談…今回の事件が発覚しました。
他人のスマホを遠隔操作したのではなく、家族である「妻」に対する行為でも犯罪になってしまうのでしょうか?
この「不正指令電磁的記録供用罪」とは、2011年に新たに設けられた新しい犯罪類型です。
これは、他人のパソコンやスマートフォンに、ウイルスを入れるのを禁じる法律です。
法定刑は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます。
この犯罪類型とともに『不正指令電磁的記録作成罪』通称「コンピューターウイルス作成罪」も規定されましたが、『不正指令電磁的記録供用罪』は、ウイルスの作成や提供だけではなく、ウイルスに感染させる行為自体も処罰の対象になるのです。
今回の事件では、「アプリ」をインストールする行為でしたが、『不正指令電磁的記録供用罪』で逮捕されました。
今回のアプリは、別の端末から遠隔操作や位置情報の取得ができる機能を有していました。使い方によってはウイルスと同様に本人の意図に反した動作をさせることができます。そのため、今回の逮捕に至ったものと思われます。
また、第三者のスマホならともかく、妻のスマホにインストールしたに過ぎないのに、逮捕されてしまうのは疑問に思う方もいるでしょう。
しかし、不正指令電磁的記録供用罪は、犯人以外の人のパソコンやスマートフォンに対して行うと成立する犯罪ですので、たとえ犯人の妻であっても、本人の承諾がない以上は犯罪として成立するのです。
愛情の裏返し…という言い訳は通用しないのです!