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ネットワークビジネス会社が業務停止処分!連鎖販売取引法の規制とは【2023年5月加筆】

法律時事ニュース

ネットワークビジネス事業者が、業務停止命令処分

消費者庁は、2020年11月20日、十分な説明や書面の交付を行わず連鎖販売取引の勧誘をしたとしてARIIX JAPAN合同会社に対し業務停止命令を行いました。

連鎖販売業者【ARIIX Japan合同会社】に対する行政処分

年間売上は約42億円を上げていた同社への規制ということで、今回は何が問題だったのか、特定商取引法が規制する連鎖販売取引についてを見ていきます。

消費者庁の発表などによりますと、ARIIX社は2012年頃から同社の栄養補助食品「ニュートリファイ」、化粧品「ピュリティ」や空気清浄機などの商品の販売のあっせんをする者を勧誘していました。いわゆるネットワークビジネスの形態です。

勧誘の際には、同事業の統括者の名称や勧誘目的、商品の種類などの説明や書面等の交付も無く、また複数人で長時間にわたり繰り返し契約締結の勧誘を行っていたとのことです。

連鎖販売取引とは

会員が、さらに会員が勧誘しといった形で連鎖的に販売組織が拡大していく取引を連鎖販売取引と言います。一般的には、ネットワークビジネスやマルチ商法とも呼ばれます。

連鎖販売取引に当たるかは、主に2つの要件を満たす必要があります。

  1. 特定利益…孫以降の段階の収益も紹介料が入る
  2. 特定負担…入会金やシステム利用料を支払う

「この商品を購入して、他の人を勧誘すると●●円の紹介料がもらえます」といった勧誘が典型例といえます。

連鎖販売取引規制違反の罰則

現在この連鎖販売取引にはかなり厳格な規制が置かれており、違反した場合には業務改善指示(38条)や業務停止命令(39条)、業務禁止命令(39条の2)などの行政処分だけでなく、罰則として3年以下の懲役、300万円以下の罰金の刑事罰もあります。

連鎖販売取引の規制

連鎖販売取引を行う場合、勧誘に際しては、相手方に統括者、勧誘者、販売業者の氏名(名称)、勧誘目的、商品(役務)の種類を明示し、契約の際にはそれらに加え、特定利益や特定負担に関する事項、契約解除や割賦販売法に基づく抗弁権に関する事項などを記載した書面の交付が必要です(概要書面、契約書面の送付)。

また禁止行為として勧誘の際の不実告知や重要事項についての不告知、解除させないために威迫させ困惑させること、勧誘目的を告げずに公衆の出入りしない場所で勧誘を行うことが禁止です。

誇大広告やあらかじめ承諾していない消費者に広告メールを送信することも禁止されています。

また連鎖販売取引の場合は20日間となっており、違反行為があった場合はその期間経過後のクーリングオフも有効とされます。

無限連鎖講(ネズミ講)の違いとは

連鎖販売取引に似た取引で無限連鎖講(いわゆるネズミ講)と呼ばれるものが存在します。

連鎖販売と同じように、特定利益と特定負担があることは同じですが、連鎖販売取引と異なり、実際に商品または役務をない場合です。

連鎖販売取引は特定商取引法の規制のもとで行われる場合は合法であるのに対し、無限連鎖講は無限連鎖講防止法によってそれ自体が違法となっており、3年以下の懲役または300万円以下の罰金、勧誘者も20万円以下の罰金が規定されています。

ネットワークビジネスは、規制が強化されている。

上記のようにネットワークビジネスについては行政の規制も強化されています。

連鎖販売の仕組みを取り入れる場合には、法律の要件を整えて行うようにしましょう!