この記事の目次
DAppsとは「分散型アプリケーション(Decentralized Applications)」のことです。
通常のアプリケーションは、アプリケーションが運営する企業が、管理運営する権限を有しています(これを「中央集権型」といいます)。
これに対して、DAppsは、権限が一箇所に集まっていない非中央集権のアプリケーションで、仮想通貨の基幹技術であるブロックチェーンの仕組みを利用しています。
例えば、通常のアプリケーションは、一つの中央サーバーで情報を管理しています。一方、DApps(ではブロックチェーンを利用することでユーザーがみな同じ情報を共有しているので、中央サーバーがハッキングを受けることにより個人情報の漏えいなどの心配がなくなるのです。
上記のようなDAppsですが、これはゲームアプリから広がると言われています。すでに、DAppsの機能を利用したゲームが、以下のように多数登場しています。
イーサリアム上のゲームアプリとして、最初に注目されたのが、仮想子猫です。
これは、バーチャル上の猫のイラストを収集して、飼育するゲームです。
ゲーム産業変える?「仮想子猫」大人気、イーサリアム上アプリで一位【続報】
ゲーム内では、ユーザーが飼育した仮想子猫をトレードするマーケットが開設されていて、一番高いものだと、仮想子猫に約1300万円の値段がついたということで、話題になりました。
これは、イーサリアム版たまごっちのようなゲームです。ユーザーは、少額のETHでイーサゴッチ(卵)を購入して、飼育します。
イーサゴッチを育てると、ゲーム内で、アイテム購入などに使用できるゲーム「CHI」というゲーム内通貨を手に入れることができます。
こちらは、イーサリアム版のポケモンのようなゲームです。ゲーム上のモンスターを捕獲、進化させ、ユーザー同士で、購入、交換などできるゲームです。
これは、イーサリアムを用いた本格的な戦争シミュレーションゲームです。
ロシアやアメリカ、中国といったの軍隊、兵器などをイーサリアムで購入し、世界中のプレイヤーと戦闘するゲームです。このゲーム上では、生産要素として工場などを保有して他のプレイヤーに兵器を売ることもできます。
イーサリアムで本格戦争ゲーム!DApps「KryptoWar(クリプトウォー)」の特徴と遊び方は?
ユーザは、卵を購入してモンスターを育てバトルを通してレベルを上げていくゲームです。最初に、ユーザーは、イーサリアム建てでEGGSの購入することが必要になっています。
以上のように、DAppsゲームについては、多くのゲームが出てきており、市場規模も大きくなる予測なども出てきます。
しかし、DAppsゲームについては、仮想通貨である「ETH」を使い、アイテムなどを購入します。仮想通貨を使うということは、日本においては、仮想通貨法(改正資金決済法)が問題になっていきます。
DAppsゲーム会社としては、仮想通貨法の仮想通貨交換業に当たると、金融庁の登録がなくして行うことができません。
仮想通貨法の「仮想通貨交換業」の定義は、以下の通りです。
DAppsゲームは、上記のように、「ETH」を使って、「アイテム」を購入することが予定されています。
また、ユーザーは自分が購入した(育てた)「アイテム」をユーザー同士で、ETHを⽤いて、自由に売買できる機能があります。
そうなると、DAppsゲーム上の「アイテム」が、法律上の「仮想通貨」に該当すると
を行っていることになり、仮想通貨交換業が必要になるのです。
それでは、法律上の「仮想通貨」の定義とはなんでしょうか?法律上の仮想通貨とは、以下のいずれかに当たる場合をいいます。
ここでのポイントは、「不特定の者を相手方として」という部分です。
例えば、上記で記載したDAppsゲームについては、「アイテム」について、DAppsゲームのマーケットプレイスを経由して、ETHと交換することができます。
これを「不特定の者を相手方として」ETHという仮想通貨と交換しているとされてしまうと、2号仮想通貨に該当することになります。
そうなると、DAppsゲーム会社は、仮想通貨交換業の登録が必要になります。また、日本で新たな仮想通貨を販売する場合には、金融庁の認可が必要になります。
日本で新たな仮想通貨(コイン・トークン)を販売する上での法律的規制とは
これに対し「アイテム」は、DAppsゲーム内でのみ使用でき、ゲームプレイヤーのみがETHと交換できるのであるから、「不特定の者を相手方として」には、該当しないという解釈もあります。
そうなると、「アイテム」は、「仮想通貨」にはならず、仮想通貨交換業は必要ないことになります。
ここにおいては、DAppsゲームの「アイテム」の性質、仮想通貨と交換できる範囲、利用目的により、結論が変わってくる可能性があります。
この場合で、問題になるのは、独自トークンが、法律上の「仮想通貨」に該当するかという問題です。
詳しくは、【法律解説】金融庁がICOの規制強化へ!ICOの法律の現状と日本で行う方法で解説しています。
現状の金融庁の解釈では、独自トークンが、将来的に取引所に上場する可能性がある場合やトークン自体が売買や譲渡できる機能がついている場合には、法律上の仮想通貨になるとされています。
よって、DApps内で、上記のような独自トークンをETHなどと交換できるようにしている場合、これは仮想通貨交換業の登録が必要になります。
DAppsが利用されるものとして、オンラインカジノがあります。
これは、イーサリアムのスマートコントラクト技術を利用し、胴元が不正することができなくなるということで、プレイヤーも安心してプレイすることができます。
これらオンラインカジノでは、イーサロールやEdgelessなどが有名です。
では、このようなオンラインカジノプレイすること、DAppsを利用したオンラインカジノ開発するなどの行為は、法律的に許されるのでしょうか?
オンラインカジノの法律については、オンラインカジノのプレイヤーやカジノ運営サイト、アフィリエイターは違法なのか?で解説しています。
オンラインカジノのプレイヤー、運営事業者は、犯罪となる可能性がありますので、注意が必要です。
DAppsゲームなどは、今後、需要の伸びが期待でき、開発する事業者も増えてくると思います。しかし、仮想通貨を扱うことから「仮想通貨法」の存在を無視することはできません。
事業者は、法律に十分注意して行うようにしましょう。