手術用ロボットや画像診断ソフトウェアなど、AIやロボットを活用した機器などが、法律上の「医療機器」に該当する場合、その製造・販売には許可等が要求され、個別の品目についても安全性や有効性が確認されたうえで承認が必要とされています。
「医療機器」には、システム開発のプログラムも含まれます。
AIやロボットを活用した機器等は、薬剤の混合調整ロボットから、一般個人が装着し自身の健康管理を行うウェアラブル端末のようなものまで多種多様であるため、法律上の医療機器該当性が問題となるのです。
法律の「医療機器」とは、「疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等であって、政令で定めるもの」とされています。
どういうものが、「医療機器」に該当するかは、厚生労働省から基本的な考え方が示されています。
プログラムの医療機器への該当性に関する基本的な考え方について
「ソフトウェアの医療機器への該当性に関する基本的な考え方」
その中では以下の2点を考慮すべきとされています。
また、医療機器に該当するプログラムとしては、次のものが含まれます。
一方、以下のようなものは「医療機器」とはされていません。
これは、疾病の治療、診断等に直接寄与するものでない、または人の生命および健康に影響を与えるおそれが低いと考えられているためです。
AIやロボットを活用して診断・診療を行う場合、医師法等との抵触が問題となり得えます。
同法等は、患者の生命・健康を保護する趣旨から、医師、歯科医師、看護師等の免許を有さない者による医業を禁止しています。
ここにいう「医業」とは、当該行為を行うにあたり、医師の医学的判断および技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、または危害を及ぼすおそれのある行為(医行為)を反復継続する意思をもって行うことをいいます。
医師が全く関与することなく、AIやロボットを利用した診断等の医行為が行われた場合、現行法上、医師法違反になります。
現状においても、AIが単独で診断確定・治療方針の決定を行っているわけではありません。
厚生労働省は2018年12月、人工知能(AI)を用いた診断・治療支援を行うプログラムを利用して診察を行う場合についても、診断、治療等を行う主体は医師であり、医師が最終的な判断の責任を負うとの見解を示しました。
厚生労働省「第4回保険医療分野AI開発加速コンソーシアム資料」