前回、行くあてもなく、実家に帰ってきた中野青年。
IT・ウェブ企業に特化した弁護士の誕生秘話vol.14
そして、ドアのインターホンを鳴らすと、そこには父親の姿が…。
その瞬間、中野青年は土下座をしました。
事業が失敗したこと
破産してしまったこと
もう、行くところがないこと
そして、今までの不義理を、ひたすら謝り続けました。
怒鳴られる…そう思いました。
勘当されたら、ホームレスだな…そう思いました。
だけど…次の瞬間…
「おかえり。飯、出来てるぞ」
と予想外の返答。
そして、リビングにいくと、そこには母親の手料理がズラリ…。
「おかえり」
笑顔の母親…。
その瞬間、中野青年の中で何かが弾けました。嗚咽…号泣…
事業が成功して、月に何百万円というお金が入っていたころ…
俺は天才なんだと。
父親よりも多い収入を得て、父親を超えた気になっていました。
でも、それは大きな勘違い…
人間としての度量、器の大きさでは、全然叶わない…
親の偉大さを改めて感じました。
このとき、中野青年は、大学4年生…事業が倒産した以上、やはりどこかに就職せねば…と思いました。
そこで、大学の就職課を訪ねてみると、就職課のおばちゃんから、
「大学4年生⁉︎もう就職活動のピークは過ぎているわよ…就活市場の価値は、3年生がピーク。4年生になると価値がないのよ」
当時は、就職戦線がどんどん前倒しされていた時期…
同級生は、大学3年生までには、就職を決めていました。
価値がない…その言葉が、中野青年の心をえぐりました。
そして、中野青年は、以前所属していたサークルのサークル室へ。
事業が軌道に乗ってからは、めっきり顔を出さなくなっていましたが、そこには、同期がいるはず…。
何か、情報があるのではないか…そう期待して訪れました。
でも…いざ、訪れてみると…冷たい視線が…。
それはそうです!事業がうまくいっていたときは、その成功を見せびらかしたくて、
高級ブランドに身を包み、自分の成功を誇示していました。そして、真面目に就活している同級生に向かって、「就活して会社の奴隷になるなんて、俺は絶対嫌だね」、「俺は、自分の力で稼いでいくんだよ」…
なんという、勘違い野郎!
そんなことを言っていた人間が、就職の情報をください…ふざけんなって話です。
当然、僕のことを助けようとしてくれる人は誰一人としていませんでした…。
これまで、自分が周りの人たちに対してしてきたことに、中野青年は、心から後悔しました。
後悔先に立たず…その言葉の意味を、中野青年は痛感しました。
しかし、中野青年には、へこんでいる時間はありません。何とか進路を決めない…
何とかしようと思い、翌日も外出しようとすると…玄関から外に出られない…
玄関から外に出ようとすると…眩暈が…
中野青年の身に一体何が…