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オンラインゲームの中では、ユーザーが料金を支払ってアイテムを利用することにより、ゲームを有利に進めるこ とができるものが多いです。
オンラインゲームのアイテムは、形のない情報ですが、ユーザーとしては、それを購入しているので、
ユーザー自身がアイテムを所有していると認識しているのではないでしょうか。
では、オンラインゲームのアイテムについて、ユーザーは所有権などの権利を持っているといえるのでしょうか?
まず、ユーザーがアイテムの所有権を持っているかが問題となります。
ここで、法律上の「所有権」とは物に対する権利であり、動産や不動産などの形があるもの(有体物)についてのみ認められる権利であるとされています。
オンラインゲームのアイテムはゲーム上の情報(記録)にすぎず、形があるものではありません。
よって、アイテムについて ユーザーの所有権が認められることはないのです。
それでは、ユーザーは、オンラインゲームのアイテムについて、何らの権利も有しないのでしょうか?
これは、利用規約の規定ぶり、オンライ ンゲームの提供が有償か否か、アイテムの取得が有償か否か、購入画面の表示方法・価格等が総合考慮されます。
特に以下の2点は重要なポイントとなります
つまりオンラインゲームの提供及びアイテムの取得が無償であれば、ユーザーのアイテム利用に関して、事業者が義務を負うというのは難しいでしょう。
一方、有償であれば、事業者はユーザーに対して、アイテムの利用に関する義務・責任を事業者が負担すると考えられています。
なお、オンラインゲームの事業者が負担する義務・責任について、
利用規約において一 部又は全部の免責条項が設けられていることがあります。
これらの規定の中には消費者契約 法第8条第1項に照らして、事業者に故意又は重過失が認められる場合については無効となるが、軽過失の場合の一部免責規定として有効性が認められるものもあると考えられます。
ユーザーは、有料のアイテムの購入する場合には、当該アイテムをオンラインゲームにおい て継続的に利用することを期待していることが通常です。
オンラインゲーム中の継続的利用を前提にしている有料アイテムについて、
当該アイテムをユーザーが取得した直後に、事業者がユーザーに対して何の事前の告知もせず、
オンラインゲームの提供を終了したような場合には、事業者はアイテム購入代金の全部又は一部に相当する金額について損害賠償責任を負う可能性があります。
このようなトラブルを防ぐためにも、有料アイテムなどを販売する場合には、利用規約などでサービスを終了する場合の手順や有料アイテムをどのようにするかを事前に規定しておく必要があります。
事業者としては、有料アイテムを利用するのに十分と考えられる猶予期間を設けて、サービス停止の告知がされたような場合には、ユーザーは当該有料アイテムをゲームにおいて利用する機会を得ており、事業者のユーザーに対する返金義務や損害賠償責任は生じないと考えられます。
上記のように、事業者にとっては、有料アイテムについて、一定の義務が生じますが、利用規約で以下の様な条項が置かれていた場合には、どうなるのでしょうか?
この場合には、消費者契約法という法律があり、事業者に一方的に有利な規定は、無効になるとされています。
事業者は一切責任を負わないいった規定は、消費者契約法第8条第1項により無効となり、事業者には損害賠償責任等が生じる可能性があるのです。
以上のように、オンラインゲームのアイテムを出す事業者は、色々と注意するべき点があります。
ビジネスモデルや利用規約など、事前に検討するようにしましょう!