ある会社が、QRコード決済サービスを提供する電子決済サービスを利用しているとします。このようなサービスを利用するにあたって、当社と決済事業者、顧客との間では、どのような契約が成立しているのでしょうか。
政府と決済事業者が、キャッシュレス決済に関する大幅なポイント還元キャンペーンを実施したこともあり、現金を使わない電子決済の利用は、オンラインでの取引のみならず、スーパーやコンビニエンスストア等の実店舗における買物でも拡大しています。
2019年における日本のキャッシュレス決済(クレジット、デビット、電子マネー)比率は約26.8%と順調に増加していますが、主要各国では40%~60%台とされています。
政府の方針では、2025年6月までにキャッシュレス決済比率を倍増して4割程度とすることとされており、引き続き政府によるキャッシュレス決済普及施策が進められています。
QRコード決済を利用する際には、次の流れとなります。
決済事業者が定める利用規約が適用されます。
決済サービスについては、様々な形態があるため、個別のサービスに応じた法規制を確認する必要があります。一連の仕組みには、クレジットカード事業者や広告配信事業者が関係してくることにも注意が必要です。
販売店がQRコード決済を導入するためには、決済事業者に、加盟店規約を締結することを前提に申込みをし、決済事業者の審査を経て、加盟店と認められる必要があります。
加盟店となった後における決済事業者・販売店間の法律関係は、加盟店規約やそれに付随する規約によって定められることとなります。
決裁利用者は、QRコード決済を利用するために、決済事業者などから提供される専用のアプリをインストールし、利用者登録を行います。法律関係については、決済事業者の定めた利用規約に従うこととなります。
販売店・決裁利用者間の法律関係は、決済手段がQRコード決済となる以外は、従前の場合と同様です。
QRコード決済では、決済事業者は、事業の収益性をQRコード決済単体ではなく、ECやSNS等の事業全体、データの活用などの全体で捉えていることが多いといわれており、クレジットカード決済などに比べて、決済手数料を低くしている場合が多いです。
具体的には、決済事業者は、決裁利用者から利用者登録の際に取得する、決済に必要となる情報のほか、購入した商品、金額などの情報も取得することができます。
同データを利用することで、対象者の属性や購買履歴をもとに、決裁利用者に対してより効果的な広告を打つことが可能となり、広告枠自体の販売価格も高くなります。