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マッチングプラットフォームの法律関係~マッチングプラットフォームの法律~運営者・提供者・利用者の契約関係~【2023年3月加筆】

IT企業のための法律

マッチングプラットフォームの法律

スキルシェアサービス(マッチングプラットフォーム)を利用して、ある人に、ある業務を依頼する…そんなサービスを利用するにあたって、ユーザーとプラットフォーム運営者の間では、どのような契約が成立しているのでしょうか。

シェアリングエコノミーについて

シェアリングエコノミーとは、個人等が保有する活用可能な資産等を、インターネット上のマッチングプラットフォームを介して、他の個人等も利用可能とする経済の活性化活動をいいます。

シェアリングエコノミーの代表例としては、第三者の住宅を利用可能とする民泊サービスや第三者の車に同乗して目的地まで赴くライドシェアサービスなどがありますが、これまで異なる分野として考えられてきた様々なサービスが含まれています。

例えば、モノのシェアには、インターネットオークション、オンラインフリーマーケットも含まれます。

  1. マッチングプラットフォーム運営事業者が提供したサービス提供者とサービス利用者のマッチング機能、レビューシステムや決済機能等を利用して
  2. サービス提供者がサービス利用者に対してサービスを提供し
  3. 利用者はその対価を提供者に支払う

このようなサービスモデルになります。マッチングプラットフォーム提供事業者は、利用者の支払う対価の一部を手数料として徴収して収益源とする例が多いです。

対象がスキルの場合には、サービス提供者が個人(個人事業主)でサービス利用者が企業というケースも多いという特徴があります。

注意点としては、既存のサービスと同様に業法の対象となることが多いため業法の規制を準する必要があります。また、サービス提供に許可や免許などが必要となる場合があることがあげられます。

例えば、民泊サービスに関するサービスの場合、運営事業者には、旅館業法や住宅宿泊事業法が適用されます。

このため、マッチングプラットフォーム提供事業者は住宅宿泊事業法に基づき、観光庁長官の登録を受ける必要があり、同法に基づく様々な義務が課されます。

マッチングプラットフォーム運営事業者・サービス提供者間の法律関係

マッチングプラットフォーム運営事業者が定める利用規約が適用されます。サービス運営者、サービス利用者間における契約は、両者間の取決めによることになります。

上記利用規約で定められている内容が多いといえます。特にスキルシェアサービスの場合は、BtoC型ではなく、BtoB型のビジネスとなると考えられます。

サービス提供者がプラットフォームを利用するには、マッチングプラットフォーム運営事業者が定めた利用規約に従い、会員登録をする必要があります。

会員登録後、提供者は、プラットフォーム上に掲載された依頼する業務に応募します。なお、マッチングプラットフォーム運営事業者は、提供者の業務遂行能力などについては、責任を負わないとされています。

サービス提供者・サービス利用者間の法律関係

提供者・利用者間で、契約条件を相談の上、提供者・利用者間で業務委託契約を締結します。マッチングプラットフォーム運営事業者は、業務委託契約の当事者にはならないとされており、このことは通常利用規約でも明示されています。

もっともマッチングプラットフォーム運営事業者が定めた利用規約では、提供者・利用者間で締結される契約の類型([例]プロジェクト形式、コンペ形式、タスク形式)や報酬金額の算定に関する基準(固定報酬、タイムチャージなど)などが定めてあり、事実上業務内容や具体的な報酬金額以外の内容をひな型として提示しているものと評価できます。

マッチングプラットフォーム運営事業者は、利用規約で支払方法(決済手続)や支払時期を指定しています。

また運営事業者が利用者から提供者の報酬を受領し、システム利用料・保証料などの名称の手数料を差し引いた上で、提供者に引き渡すこととなっていることが一般的です。

提供者・利用者間の法律関係について、マッチングプラットフォーム提供事業者が法的責任を負うことは原則としてありません。

もっとも上記のように、シェアリングエコノミープラットフォームの場合、提供者に該当するのが個人、利用者に該当するのが企業になると考えられ、オンラインモールなどの場合に比べ、プラットフォーム運営事業者には、提供者側を保護する役割が重視されると考えられます。