IT法務・AI・Fintechの法律に詳しい弁護士|中野秀俊のホームページです。 IT法務や仮想通貨(ICO)、AIなどのITビジネスを専門に扱う法律事務所です。
グローウィル国際法律事務所
03-6263-0447
10:00~18:00(月~金)

アクセラレーションプログラムと法律的留意点 

IT企業のための法律

アクセラレーションプログラムについて

大企業がスタートアップとのオープンイノベーションを実現するべく、アライアンス先候補としてのスタートアップを探す場合、どこにどのようなスタートアップがいるかの勘所が付かず、探す段階で苦労をすることも少なくありません。

そこで、自社で探すのではなく、オープンイノベーションのパートナーとなりうるスタートアップに集まってきてもらうため、自社単独又は既存のイベント主催者と共同でアクセラレーションプログラムを開催することが考えられます。

最近では、多くの官民の団体から多種多様なアクセラレーションプログラムが提供されるようになってきたが、大企業が提供するアクセラレーションプログラムについては、大企業側開催の目的も様々なものになります。

大企業の新規事業を協業・投資により創出する目的での開催や、投資目的、スタートアップとのリレーション形成目的等色々挙げられるだろうが、当該目的に応じたアクセラレーションプログラムを開催する必要があります。

つまり、スタートアップもその時点で自社に足りないところを補うためにアクセラレーションプログラムに参加するのであって、大企業としても、いかなる課題をもったスタートアップをパートナー候補とするかによって、課題解決手段としていかなるアクセラレーションプログラムを用意するかが異なってきます。

初期のフェーズ

例えば、初期のフェーズのスタートアップをターゲットにするのであれば、ニーズの検証をなしうるプログラムを提供することや、また、プロダクト/サービスを開発した後のスタートアップであれば、販売や保守等のサポートができるプログラムを提供する等の工夫が必要となります。

アクセラレーションプログラムの法律的注意点

なお、いかなるスタートアップをパートナー候補にするとしても、参加者の成果物に関する知的財産権を主催者たる大企業に無条件で帰属させる形は避けるべきです。

なぜなら、スタートアップは、多くの企業との取引を展開していくことにより、短期間に大きく成長することを目指していくことが多いため、特定のパートナー企業に自社成果物の知的財産権を吸い上げられてしまうと、その後の展開可能性が限定され、事業成長の妨げになります。

そのため、仮に参加者の成果物に関する知的財産権を主催者たる大企業に無条件で帰属させる形をとってしまうと、スタートアップコミュニティにおける当該大企業の評判が頗る悪くなり、その後の(他の会社も含めて)スタートアップとのオープンイノベーションの機会を逸してしまう可能性が高いといえます。

この点と関連して、例えば、公正取引委員会「スタートアップの取引慣行に関する実態調査報告書」おいて、以下のような問題事例が挙げられています。

事業者やベンチャーキャピタル等が、スタートアップに対して出資や支援を行い、新たな事業を創出することを目的とした会合(アクセラレータープログラム)において、ベンチャーキャピタルからNDAの締結を拒否された上、当社の営業上の秘密を含むビジネスモデルを話すことを強く求められた。その結果、当社のビジネスモデルが盗用されたり、出資者自身の出資先である当社の競合他社に情報が流出した。

このような事例もあるので、十分注意しましょう!