ウェブサービスなどで、販売促進のために、購入者や申込者全員にプレゼントをしようという場合があると思います。しかし、このようなキャンペーンは、法律上問題はないのでしょうか?
以前に書いた記事「IT・ウェブサービスの新規キャンペーンのやりすぎ注意!ユーザーへのプレゼントには法的限度がある。」のなかで「懸賞」の場合の注意点を記載しました。
では、懸賞ではなく、購入者や申込者「全員」にプレゼントする場合には、どのような規制が適用されるのでしょうか?
この場合には、懸賞の場合とは異なった規制があります。景品表示法3条「一般消費者に対する景品類の提供に関する事項の制限」の運用基準によると、次の通りです。
取引価額 | 景品類の最高価額 |
1000円未満 | 200円 |
1000円以上 | 取引価額の20%以上 |
この場合の「取引価額」は購入金額のことを指します。
「購入者を対象とするが購入額の多少を問わないで景品類を提供する」場合の「取引価額」は、原則として「100円」とするとされています。よって、購入者全員プレゼントといったキャンペーンの場合に、配布できる景品の最高限度額は、原則200円までです。
ただし、プレゼントの対象商品またはサービスのうち、通常行われるサービス対価のうちの最低のものが 100円を超えると認められるときは、当該最低のものを「取引価額」とすることができるとされています(総付運用基準1(2))。
自社サービスの最低価格が1000円以上である場合には、その最低価格の20%のプレゼントを配布できるというわけです。
では、ある商品を、一定数買ってくれた人に、同じものをもう1個プレゼントする場合には、先ほどの規制の対象となるのでしょうか?
この点、監督官庁である消費者庁は、ある商品・サービスの購入者に対し,同じ対価で,それと同一の商品・サービスを付加して提供することは,値引と認められる経済上の利益に該当し,「景品規制の対象とはなりません。」としてます。
例えば,「コーヒー5回飲んだらコーヒー1杯無料券をサービス」などもこれに該当します。本件については,上記コーヒーの例と同様と考えられますので,景品規制は適用されません。
参照:「景品類等の指定の告示の運用基準について」(昭和52年事務局長通達第7号)6(3)ウ
以上のように、景品規制は、意外と複雑で難しいのです。プレゼントするのだから、何でもいいだろう…というのは、通用しないので十分に注意してください。