プラットフォーム事業を営むにあたって、運営者にどのような義務が発生するのかを設計する必要があります。
プラットフォーム事業者は、以下のような利用規約の規定に注意することが必要です。
プラットフォームの信頼性を高めるためには、データ提供者・利用者が利用規約を遵守しているかを運営者が適切に監査・モニタリングできる制度を設けておく必要があります。
監査・モニタリングの方法にも、(1)定期的にデータ提供者・利用者から報告を受けるものや、(2)運営者が必要と判断した場合に報告を求めるもの、また、(3)実際にデータ提供者・利用者の事業所まで赴いて実地監査を行うものなどがあります。
苦情処理や紛争解決手段についても利用規約で規定を設けておくことが考えられますが、利用規約で規定するか否かとは別に、苦情対応等の窓口を設置して、プラットフォーム上に明示しておくことが望ましいです。
すべてのセキュリティ事故を防止することは不可能ですし、バグやウィルスも完全には防げません。
これらについては、プラットフォーム運営者は何ら保証しないことを明記しておく必要があります。
利用規約では、セキュリティが完全なものであること、プラットフォームにバグがないこと、プラットフォームの利用によりウィルスに感染しないこと、プラットフォームの運営が中断しないことについては、保証しないという規定を置いておくとよいでしょう。
プラットフォーム運営者は、多数のデータ提供者・利用者を相手にすることから、仮にすべての損害を賠償する必要があるとすると、莫大な金額となる可能性があります。このような場合には、プラットフォームの運営自体が立ちゆかなくなる可能性もあります。
そのため、プラットフォーム運営者の責任を一定範囲に制限しておくことが考えられます。
例えば、損害について、直接かつ通常損害に限定されるものとして、運営者のせいではない事由から生じた損害、特別損害・逸失利益については免責することとしています。
その賠償金額も一定額に限定しています(上限規定)。また、利用規約で、「一切席に責任負いません」という規定をすることも考えられます。
もっとも、利用者が個人である場合には、消費者契約法により、プラットフォーム運営者に故意・重過失がある場合には、免責・責任限定規定は無効とされることになります。
なお、2020年4月1日から施行される改正民法においては、新しく「定型約款」という利用規約に関する条項が設けられました。
この中で、相手方の利益を一方的に害すると認められるものについては、合意をしなかったものとみなすこととされました。
2020年4月1日施行の民法改正による利用規約改定の3つのポイント
データの漏えいや喪失、規約違反の利用により、データ提供者やデータ利用者の損害が拡大することを防止するために、発見者の通知義務と、プラットフォーム運営者が協力して対処することを定めることが考えられます。
また、通知後の事実確認、原因の調査と再発防止策の実施を規定します。
さらに、同様の事案を防止するために、その概要を必要な範囲で他のデータ提供者・利用者にも通知することとし、調査等の費用を含めて原因となった者が負担するとよいでしょう。
プラットフォームの運営中に、保守点検や設備の不具合により、サービス提供を中断する必要があることから、中断事由を明確にすることが必要です。
また、禁止事項に違反したデータ提供者・利用者についての制裁措置として、プラットフォームサービスの全部または一部を停止することができることとしています。
さらに、天災地変等の不可抗力のほか、一定期間前までにデータ提供者・利用者に通知することにより、プラットフォームサービスの全部または一部を廃止することができることとしているのです。
利用規約の変更手続について定めることも必要です。
現状は、法律上、どのような変更手続きを取ればいいのかは規定されていませんが、改正民法では、相手方の同意を得ることなく一方的に契約の内容を変更する手続についての明文規定が設けられました。
2020年4月1日施行の民法改正による利用規約改定の3つのポイント
利用契約を解約する事項についても検討する必要があります。
このような規定するのが一般的です。