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国税庁から仮想通貨の税金について見解が発表!仮想通貨の法律に強い弁護士が解説

仮想通貨・デジタル通貨に関する法律

国税庁から「仮想通貨の税金」の詳細が発表

2017年12月1日に、国税庁から、仮想通貨の税金について、仮想通貨に関する所得の計算方法等についてという形で、発表されました。

先日、国税庁から、ビットコインを使用したことにより生じた利益については、所得税の対象であり、その所得は、雑所得になるとの見解が示されました。

IT弁護士が仮想通貨と各種税金の問題を考察【所得税・法人税・消費税・相続税】

今回の国税庁の発表は、確定申告の対象となる仮想通貨の損益やその具体的な計算方法等について、取りまとめたものです。

具体例なども、織り交ぜながら、記載されていますので、非常に参考になるものです。

仮想通貨を売却したときの税金

保有する仮想通貨を売却(日本円に換金)した場合、その売却価額と仮想通貨の取得価額との差額が所得金額となります。

つまり(売った時の値段)-(買った時の値段)=所得金額です。

「買ったときの値段」については、買ったときの仮想通貨1単位の値段を計算し、それを売却した仮想通貨の割合で掛けることによって、計算します。

仮想通貨を売却した時の税金の具体例

国税庁の資料では、以下の具体例が載っていますので、参照してください。

(例)3月9日 2,000,000 円(支払手数料を含む。)で4ビットコインを購入した。
5月20 日 0.2 ビットコイン(支払手数料を含む。)を110,000 円で売却した。
110,000 円 - (2,000,000 円÷4BTC)× 0.2 BTC = 10,000 円

よって、この場合、1万円が所得金額になり、ここに所定の税率がかけられ、納める税金が決まります。

仮想通貨で商品を購入した場合

現在、仮想通貨で決済できる店舗なども増えています。この場合も、仮想通貨を使用しているので、その利益については、税金がかかります。

保有する仮想通貨を商品購入の際の決済に使用した場合、その使用時点での商品価額と仮想通貨の取得価額との差額が所得金額となります。
(購入した商品の価格)-(仮想通貨を買った時の価格)×支払に使った仮想通貨=所得金額です。

仮想通貨で商品を購入した場合の具体例

国税庁の資料では、以下の具体例が載っていますので、参照してください。

(例)3月9日 2,000,000 円(支払手数料を含む。)で4ビットコインを購入した。
9月28 日 155,000 円の商品購入に0.3 ビットコイン(支払手数料を含む。)を支払った。
155,000 円 - (2,000,000 円÷4BTC) × 0.3BTC = 5,000 円

よって、この場合、5,000円が所得金額になり、ここに所定の税率がかけられ、納める税金が決まります。

仮想通貨と仮想通貨を交換した場合

今回、仮想通貨と仮想通貨の交換、例えば、保有しているBTC使い、ETHを購入した場合も、課税対象であることが明確化されました。

この場合、保有する仮想通貨を他の仮想通貨を購入する際の決済に使用した場合、その使用時点での他の仮想通貨の時価(購入価額)と保有する仮想通貨の取得価額との差額が、所得金額とされました。

(ETH購入金額)-(BTC購入金額)×支払に使ったBTC=所得金額になります。

仮想通貨と仮想通貨を交換した場合の具体例

(例)3月9日 2,000,000 円(支払手数料を含む。)で4 ビットコインを購入した。
11月2日 他の仮想通貨購入(決済時点における他の仮想通貨の時価600,000円)の決済に1 ビットコイン(支払手数料を含む。)を使用した。
600,000 円 - (2,000,000 円÷4BTC) × 1BTC = 100,000 円

よって、この場合、10万円が所得金額になり、ここに所定の税率がかけられ、納める税金が決まります。

同じ仮想通貨を2回以上にわたって取得した場合

仮想通貨投資を行っていると、同じ仮想通貨を時期を変えて、複数回購入することはよくあります。

その仮想通貨を売却した場合に、そもそも取得金額がいくらになるのかが問題になります。

この場合には、移動平均法という方法を用いることが明確化されました(ただし、継続して適用する場合には、総平均法用いてもOKとされています)

移動平均法(総平均法)は、株式投資などをしている方にとっては、お馴染みの概念ですが、初心者の方には、分かりづらいかもしれません。

上記、国税庁の資料には、具体例も載っているので、理解するようにしましょう。

仮想通貨の分裂した場合

ビットコインなどのハードフォークなど、仮想通貨が分裂して、分裂後の仮想通貨を取得する場合があります。

この場合、分裂後の仮想通貨を取得した段階では課税対象にはならず、分裂後の新たな仮想通貨を売却、使用した時点で、課税対象になることが明らかにされました。

なお、分裂後の新たな仮想通貨を売却、使用した場合の「取得価格」は、0円として計算することです。つまり、分裂後の新たな仮想通貨を売却、使用した金額が、そのまま課税対象の所得金額になります。

仮想通貨の利益が、雑所得以外になる場合

前述の通り、仮想通貨を売却・使用して利益を得た場合には、原則として、雑所得した分類されます。

しかし、会社などの事業として、ビットコインを使用した場合などは、事業所得になるとのことです。

また、個人の方でも、仮想通貨取引で生計を立てていると客観的に認められる場合には事業所得になります。仮想通貨の売却・使用が事業として行われた場合にも事業所得になります。

なお、仮想通貨取引によって損失が生じた場合、その損失分を他の所得のプラス分と相殺することはできません

ただし、上記のように、仮想通貨の売却・使用が、事業として行われた場合の損失分は、他の所得から相殺することができます

仮想通貨のマイニングで、仮想通貨を取得した場合の税金

仮想通貨のマイニングで、仮想通貨を取得した場合にも、課税の対象になります。

この場合の課税対象の計算は「収入金額」(マイニングにより取得した仮想通貨の時価)-マイニングに要した費用です。

そして、そのマイニングにより取得した仮想通貨を売却・使用して、利益を得た場合も、課税対象になります。

この場合も(売った時の価格)-(取得したときの価格)となりますが、この「取得したときの価格」は、マイニングにより取得した仮想通貨の時価になります。

仮想通貨に関する税金は、きちんと処理を

少し前までは、仮想通貨に関しての税金は、その扱いが不明確であったため、まぁ税金テキトーでもいいかというのも通用したかもしれません。

しかし、国税庁からの扱いも明確になった今では、税金がテキトーでは、税務署から連絡がくるかもしれません。

仮想通貨取引での利益は、きちんと処理をするようにしましょう。