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【ECサイトと法律】ECサイト事業者は注意!定期購入サービスには新しいルールが適用へ。

インターネット法律

改正特定商取引法が12月1日から施行

2017年12月1日から、改正特定商取引法が施行されました。

特定商取引法とは、次のようなルールを定める法律で、事業者の中で、全く関わっていませんという方が少ないほど、広範囲な規定がされている法律です。

  • 訪問販売や電話勧誘販売
  • 通信販売(インターネットによる販売:ECサイトなど)
  • エステサロン、語学教室、家庭教師、学習塾、結婚相手紹介サービス、パソコン教室
  • 連鎖販売取引(いわゆるネットワークビジネス)

改正特定商取引法が2017年中に施行!法律で注意すべきポイントとは?

この改正商取引法が施行されたことに伴い、消費者庁は11月1日、「特定商取引に関する法律等の施行について」を通達しました。

この通達は「特商法とその政省令の改正、パブリックコメントの内容を踏まえた上で、各経済産業局や都道府県が運用を行う上での解釈を示した」ものとしています。

これは、通達なので、法的拘束力はありませんが、行政の規制は、この通達に基づいて行われますので、事業者は守らないと、行政処分が下る可能性があります。

ECサイト複数回を購入させる定期購入サービスに新ルール

「特定商取引に関する法律等の施行について」の中で、注目すべきなのが、定期購入通販に関する事項が盛り込まれたことです。

定期購入通販とは、ECサイトなどで、商品・サービスを複数回購入することを前提とする契約のこと。

通達では「商品の売買契約を二回以上継続して締結する必要があるとき」は、ユーザが支払うことになる代金総額のなどの条件を、ユーザに分かるように、正確に明示しなければならないと規定しています。

「『初回お試し価格』などとしているが、安価な初回販売価格で購入するためには複数回分の定期的な購入が条件とされている」場合も「商品の売買契約を二回以上継続して締結する必要があるとき」に該当すると例示されています。

つまり、このような定期購入を1回の申込で契約させる場合には、ユーザに支払うことになる代金の総額などをECサイトの注文内容確認画面で明示していない場合は、特商法違反にあたります。

違反した場合には、消費者庁から、業務停止命令などの行政処分を受け、社名公表をされる可能性もあります。

また、ユーザが、商品・サービスを申し込んだ場合の最終画面において、契約内容の一部が認識できないほど離れた場所に、契約内容を表示することも違反に当たる恐れがあるとしています。

ECサイトでの定期購入がOKになる場合

特定商取引法では、ECサイトなどの通信販売の場合「顧客の意に反して契約申込みをさせようとする行為」を禁止する規定があります。

では、どのような場合であれば、OKとされるのでしょうか?

最終確認画面に、契約内容が全て表示される

  • ECサイトなどで、ユーザが、商品・サービスを申し込んだ場合、その申込みの最終確認画面に申込者が締結することとなる定期購入契約の主な内容が全て表示され、その画面上で「この内容で注文する」といったボタンをクリックしてはじめて申込みになる場合
  • 「注文内容を確認する」といったボタンをクリックすることにより定期購入契約の主な内容が全て表示され、当該操作を行ってはじめて申込みが可能となっている場合

ECサイトでの定期購入がNGになる場合

反対に、ECサイトのNG例は、どういったものでしょうか。

  • ユーザが、商品・サービスを申込んだの最終段階の画面上において、定期購入契約の主な内容の全てが表示されていない場合
  • 申込みの最終段階の画面上において、定期購入契約の主な内容の全てが容易に認識できないほど、その一部が離れた場所に表示されている場合
  • 申込みの最終段階の画面上において、定期購入契約の主な内容が全て表示されず、又はその一部が容易に認識できないほど離れた場所に表示されており、これを確認及び訂正するための手段(「注文内容を確認する」などのボタンの設定や「ブラウザの戻るボタンで前に戻ることができる」旨の説明)も提供されていない場合

ECサイトの運営には法律的に注意を

改正特定商取引法は、2017年12月1日から施行されたため、ECサイト事業者は、上記事項を守る必要があります。

消費者庁からの指導などは、近年増えており、事業者としても油断できません。ルールを守って、しっかり対策をしましょう。