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【解説】海外事業者は日本で決済業務はできる?海外送金事業を行えるの?【2024年3月加筆】

IT企業のための法律

海外事業者・海外送金の法律って、どうなっているの?

人の移動、取引がグローバルになるにつれて、海外事業者が日本で決済事業を行いたい、または日本から海外、海外から日本に海外送金したいというニーズが増えています。

そこで、今回は、海外事業者が日本で決済事業を行いたい場合、海外送金にまつわる法律について解説します。

海外事業者は、日本で決済業務はできる?

日本の金融法については、あくまで日本国内の法律であり、日本国内にしか適用がありません。そのため、海外事業者には、直接的には適用されません。

もっとも、外国法人の役員(取締役・監査役など)が、日本に居住している場合には、日本の法律が適用される可能性があります。

一方、外国法人の従業員が、日本居住者であった場合、従業員については、法人の業務執行者ではないため、外国法人の意思決定については、原則として責任を問われない。

しかし、海外事業者が、日本国内でサービスを提供するには、日本の法律の適用があります。

法律上は、外国金融サービス事業者が、日本での勧誘営業活動を行うことは禁止されています(外国証券業者に関する法律 第3条)。

この勧誘営業活動が、どこまでの範囲が含まれるのかですが、対面で話すことやセミナー活動は該当します。

その他に、日本語のホームページを掲載することについても、日本での勧誘営業活動であるとされています(外国証券業者に関する法律(第3条)、同施行令(第2条)及び外国証券業者に関する総理府令(第7条)に基づく事務ガイドライン)。

もっとも、ガイドラインでは、「日本国内の投資者との間の証券取引行為につながらないような合理的な措置が講じられている限り…「勧誘」には該当しないものとする。」とされています。

例えば、日本語のホームページがある場合でも、「日本国内の投資者が当該サービスの対象とされていない旨の文言が明記されていること」が記載があれば、上記の「合理的な措置」とされているのです。

このように、海外事業者で活動する場合には、細かいルールがあるので、注意しましょう!

海外事業者が、日本の資金移動事業者と契約することはできる?

海外事業者は、日本の資金移動業登録事業者と契約し、海外送金事業などを行うことはできるのでしょうか?

ここで、資金決済法の資金移動業に該当するかは、判例上、「為替取引」に該当するかどうかで決まります。

判例上、為替取引とは、「隔地者間で直接現金を輸送せずに資金を移動する仕組みを利用して資金を移動することを内容とする依頼を受けて、これを引き受けること、又はこれを引き受けて遂行すること」とされています。

資金移動業者ができることはなに?資金移動業の登録申請の期間や義務は?【解説】【2022年2月加筆】

資金移動業者ができることはなに?資金移動業の登録申請の期間や義務は?【解説】

そして、為替取引には、国内送金、海外送金の区別がありません。

よって、海外事業者は、日本の資金移動業登録事業者と契約し、海外送金事業などを行うことはできるのです。