送金サービスをする場合には「資金移動業」が問題になります。これに対しては、決済代行スキームなどで、対応できるということはこのブログでも、解説してきました。
決済・送金サービスの法律についての質問に弁護士が回答【資金移動業・決済代行・ポイント】
しかし、決済代行スキームには、整備しなければならないこともあり、どんなビジネスにも応用できるわけではないですし、将来的に規制される可能性もあります。
弊社では、資金移動業の登録申請サポートも行っています。そこで、今回は、資金移動業について、解説していきます。
【2022年2月時点】
弊社の登録申請サポートを行った企業で、8社登録完了
現在も、6社の登録申請サポートを行っています。
資金移動業の改正法が、2021年5月1日から施行されています。
具体的な内容は、以下を参照してください。
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資金移動業とは、A社からお金を預かり、それをB社に送金するといった送金サービスをする場合に、必要になります。エスクローサービスなども、この類型です。
【資金決済法】商取引の安全性を保証するエスクローサービスを行うための法的注意点。
最近では、プラットフォームサービス事業をする場合には、このエスクローサービスを利用するケースが増えています。
資金移動業に登録すると、100万円以下の送金サービスをすることをできます。また、この100万円の上限枠を撤廃する動きもあります。
今後は、資金移動業の登録を受けると、包括的に送金サービスができるようになる可能性があるのです。
現状の資金移動業者は「資金移動業者登録一覧」で、確認できます。
資金移動業を行うためには、あらかじめ財務(支)局長の登録を受ける必要があります。登録を受けた者は、資金移動業者として資金決済法の適用を受けます。
資金移動業の登録を受けるための要件としては、一定額の資本金を求める等の基準は設けられていません。
しかし、資産保全義務を履行するための最低履行保証額は1000万円という要件はあるので、最低限そのための資金は別途準備する必要があります。
資金移動業者の登録を行うことができるのは、1)株式会社、2)外国の法令の規定により、その国で資金移動業の登録と同種類の登録を受けた為替取引を業として営む者(外国資金移動業者)に限定されています。
合同会社は、登録を受けることができないので、注意してください。
なお、外国資金移動業者については、日本国内に法人を設立していなくても、国内に営業所と代表者を置けば資金移動業の登録を受けることができます。
弊社でも、多くの資金移動業の登録申請サポートを行っておりますが、登録を受けるためには、様々なハードルがあります。
法令上は、財務(支)局長に対して登録申請を行ってから、当該申請に対する処分(登録または登録拒否)がなされるまでにかかる標準処理期間は2か月とされています。
しかし、登録申請にいくまでに、以下のような手続きがあります。
資金移動業者の登録を行うには、トータルで最低でも6か月間は必要となることが多く、長い場合には1年ほどの長期に渡る場合もあります。
資金移動業者は、利用者保護を図るために、送金途中の資金と同額以上の資産保全が義務づけられています。
具体的には、為替取引に関して、資金移動業者が利用者に対して負担する債務(=送金途中の資金)の額を各営業日ごとに計算し、これに返還のための手続に関する費用を加えた額(要履行保証額)について、1週間ごとに計算し、供託所に納める必要があります。
この金額は、最低でも1,000万円が必要とされています。
この資産保全義務は、銀行等との間で履行保証金保全契約を締結する方法や、信託会社等との間で履行保証金信託契約を締結して信託を行う方法によっても履行することができます。
その他、資金移動業者の義務は、以下の項目が挙げられます。
利用者の保護に関する措置は、以下の項目が求められます。
また、資金移動業者は、犯収法上の特定事業者として指定されています(マネロン規制)。
このため、同法に基づき、取引時確認義務、確認記録および取引記録の作成・保存義務、疑わしい取引の当局への届出義務、体制整備義務などのマネロンを防止する体制が求められます。
財務(支)局長は資金移動業者に対して、報告徴求・立入検査、業務改善命令、業務停止命令、登録取消を行う権限を有しています。
資金移動業者は、帳簿書類を作成・保存し、事業年度ごとに資金移動業に関する報告書を作成し、内閣総理大臣に提出する必要があります。