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DappsやERC721の「ゲーム内の固有トークン」は仮想通貨(暗号資産)に該当するか

仮想通貨・デジタル通貨に関する法律

仮想通貨(暗号資産)の金融庁ガイドラインのパブリックコメントの発表

金融庁が、仮想通貨(暗号資産)に対するガイドラインに対するパブリックコメントと、それに対する回答を公表しました。

コメントの概要及びそれに対する金融庁の考え方

金融庁は、2019年6月21日に、仮想通貨(暗号資産)規制に対するガイドラインを公表しました。これは、仮想通貨(暗号資産)に対する法律規制について、金融庁が、細かいルールをガイドラインとして、作成したものです。

2019年6月21日に改訂された金融庁ガイドラインにみる仮想通貨・暗号資産ICOの法律と規制とは

今回は、このガイドラインに対して、一般に意見を募り、その意見に対する回答を公表したものです。

これには、金融庁の仮想通貨(暗号資産)に対する解釈基準が示されているので、仮想通貨(暗号資産)事業者は、必見の内容になっています。

DappsがERC721形式でゲーム内での固有トークンを発行するときの法律規制

まず、パブリックコメントに対する回答としてあるのが、Dapps やERC721 形式でゲーム内での固有トークンが、法律上の「仮想通貨」(暗号資産)に該当するかという問題です。

法律上の仮想通貨(暗号資産)に当たると、それを売買したり、仲介したり(取引所)するときには、仮想通貨(暗号資産)交換業の登録が必要になります。

仮想通貨(暗号資産)交換業に該当するのは、次の通りです。

  1. 仮想通貨の売買又は他の仮想通貨との交換
  2. 上記(1)行為の媒介、 取次ぎ又は代理
  3. 上記(1)(2)に関して 、 利用者の金銭又は仮想通貨の管理をすること

また、2019年5月法改正により、「他人のために暗号資産の管理をすること(当該管理を業として行うことにつき他の法律に特別の規定のある場合を除く。)」が新たに追加されました。

つまり、仮想通貨(暗号資産)の預かり行為、ウォレット事業者も、交換業の登録が必要とされました。

仮想通貨(暗号資産)該当性

では、DappsやERC721形式でゲーム内での固有トークンは、法律上の仮想通貨(暗号資産)に該当するのでしょうか?

コメントの概要及びそれに対する金融庁の考え方では、金融庁は次のように回答しています。

資金決済法第2条第5項に規定する仮想通貨の該当性については、法令に基づき、実態に即して個別具体的に判断されるべきものと考えております。

これですと、何も回答していないに等しいのですが、金融庁は、以下のようにも、回答しています。

不特定の者の間で移転可能な仕組みを有する場合、当該トークンが広く転々流通することが合理的に見込まれるため、同要件を充足する可能性が高いと考えられます。

つまり、Dapps やERC721 形式でゲーム内での固有トークンが、ゲーム内だけでなく、それ以外でも流通するようになると、そのようなトークンは、法律上の「仮想通貨」(暗号資産)といえるでしょう。

また、金融庁としては、トークンの仕組み上、特定の者の間でしか移転できない等の制限が設けられている場合、基本的には「不特定性」の要件を充足しないと考えられますが、例えば、当該制限を事後的に解除する等により、当該トークンが広く転々流通することが合理的に見込まれる場合には、仮想通貨(暗号資産)に該当する可能性があると考えられます。

また、不特定性の要件に関して、例えば、トークンの移転先が、本人確認等を経て一定の審査や登録等が行われた者のみに限定されている場合であっても、当該者が継続的に入れ替わるなど、当該トークンが広く転々流通することが合理的に見込まれる場合には、仮想通貨(暗号資産)に該当する可能性があると考えられます。

つまり、Dapps やERC721 形式でゲーム内での固有トークンが、当該ゲーム内だけで流通するものであっても、ゲーム内ユーザーが頻繁に入れ替わるなどの場合には、当該トークンは、仮想通貨(暗号資産)に該当するとしています。

Dapps やERC721 形式でゲームについての法律は、要注意

以上のように、Dapps やERC721 形式でゲーム内での固有トークンが、仮想通貨(暗号資産)に該当するかは、慎重な判断が必要です。

金融庁からの回答でもあるように、あくまで個別具体的に判断するとのことなので、事業者はしっかりと法律を守りましょう!