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【解説】クーリングオフが適用されるビジネスと注意点を弁護士が解説【2024年2月加筆】

IT企業のための法律

クーリングオフとは

クーリングオフとは、消費者が訪問販売などの不意打ち的な取引で契約したり、連鎖販売取引(ネットワークビジネス)などの複雑でリスクが高い取引で契約したりした場合に、一定期間であれば無条件で、一方的に契約を解除できる制度のことをいいます。

契約は、お互いの意思表示が合致すれば成立します。そして、いったん成立した契約はお互いに守らなければならず、一方的に解除することができないことが原則です。

しかし、事業者が突然訪問してきたり、電話をかけてきたりして、不意打ち的に勧誘され、よく考える時間もなく契約させられたような場合に、上記の原則を貫くと、消費者は非常に不利な立場になります。

そこで、訪問販売や電話勧誘販売などの不意打ち性の高い取引や、連鎖販売取引(ネットワークビジネス)などの複雑な取引については、申込みや契約をした後一定期間消費者が頭を冷やして考え直し、無条件で一方的に契約を解除することができるクーリングオフの制度が設けられています。

クーリングオフは、契約の原則の例外のため、すべての取引でクーリングオフができるわけではなく、法律や約款などに定めがある場合に限られます。

例えば、自分から店に出向く店舗での購入や、カタログやネット画面を見て申込む通信販売は、じっくり考えてから契約を決めることができるので、クーリングオフの対象外となります。

特定商取引法上のクーリングオフが認めれている場合

特定商取引法上、クーリングオフが認められているのは、以下の場合になります。

訪問販売

①営業所以外の場所での商品・特定権利の契約の場合(例:相手方宅に訪問して契約した)
※商品・特定権利:日常生活に関する取引において販売されるもの(例:映画チケット、会員権など)

②営業所で行われた場合であっても、営業所等以外の場所において呼び止めて営業所等に同行させた場合(例:キャッチセールス、アポイントメントセールス)ここで、アポイントメントセールスとは、以下の2つの類型を言います。

  1. 有利条件告知型:「あなただけに宿泊券が当選したので取りに来てほしい」など、他人に比べて有利な条件で営業所等に呼び出して契約をさせるもの
  2. 販売目的隠匿型:宝石を扱っている会社ですが、展示会で見るだけでよいので見るだけ来てほしいなど、販売目的を隠して営業所等に呼び出して契約させるもの

事業者は、商品の種類や販売価格、事業者名、住所などを記載した書面を交付する義務があります(特定商取引法第4条、第5条)

訪問販売での、クーリングオフ期間は書面を受け取った日から数えて8日間です。

電話勧誘販売

こちらは、事業者が電話で勧誘を行い、申込みを受ける取引のことをいいます。

事業者が電話をかけて勧誘を行い、その電話の中で消費者からの申込み(または契約の締結)を受けた場合だけでなく、電話をいったん切った後、郵便、電話等によって消費者が申込みを行った場合でも、電話勧誘によって消費者の購入意思の決定が行われた場合には、「電話勧誘販売」に該当します。

電話で勧誘して約束を取り、実際に対面して契約する場合は「電話勧誘販売」には当たりません。

事業者は、商品の種類や販売価格、事業者名、住所などを記載した書面を交付する義務があります。

電話勧誘販売での、クーリングオフ期間は書面を受け取った日から数えて8日間です。

連鎖販売取引

個人を販売員として勧誘し、更にその個人に次の販売員の勧誘をさせるかたちで、販売組織を連鎖的に拡大して行う商品・役務の取引のことをいいます。

いわゆる、ネットワークビジネスがこの類型です。

この会に入会すると売値の3割引で商品を買えるので、他人を誘ってその人に売れば儲かります。他の人を勧誘して入会させると1万円の 紹介料がもらえます。

連鎖販売取引をする場合には、契約の締結前には、「概要書面」を契約の締結後に、遅滞なく、契約内容について明らかにした書面「契約書面」を渡さなくてはなりません。

連鎖販売取引のクーリングオフ期間は、書面を受け取った日から数えて20日間です。

訪問購入

購入業者が、店舗等以外の場所(例:消費者の自宅等)で行う物品の購入することをいいます。

「購入業者」とは、物品の購入を業として営む者をいいます。「物品」とは、自動車、家電、書籍等をいいます。

訪問買取業者などが、その典型です。

事業者は、商品の種類や販売価格、事業者名、住所などを記載した書面を交付する義務があります。

訪問購入のクーリングオフ期間は、上記の書面を受け取った日から数えて8日間です。

特定継続的役務提供契約

これは、長期・継続的な役務の提供と、これに対する高額の対価を約する取引のことです。

エステ、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、パソコン教室、結婚相手紹介サービスが、この類型に該当します。

契約の締結前には、当該契約の概要を記載した書面(概要書面)。契約の締結後には、遅滞なく、契約内容について明らかにした書面(契約書面)を交付する必要があります。

特定継続的役務提供契約のクーリングオフ期間としては、書面を受け取った日から数えて8日間です。

業務提供誘因販売取引

「仕事を提供するので収入が得られる」という口実で消費者を誘引し、仕事に必要であるとして、商品等を売って金銭負担を負わせる取引のことです。

例えば、内職商法・モニター商法のことをいいます。

契約の締結前には、当該契約の概要を記載した書面(概要書面)。契約の締結後には、遅滞なく、契約内容について明らかにした書面(契約書面)を交付する必要があります。

業務提供誘因販売取引のクーリングオフ期間は、書面を受け取った日から数えて20日間です。

クーリングオフは、書面で通知する

クーリングオフをする場合は、書面で通知する必要があります。

書面での通知がなされると、契約は解除され、契約をする前の状態に戻すことになります。消費者は支払った代金を返してもらい、商品を受け取っていた場合は、販売会社に返品します。

返品のための送料は販売会社の負担となるので、消費者は着払いで返送するか、販売会社に引取りに来てもらうことになります。

一方、事業者(販売会社やクレジット会社)は、消費者に損害賠償や違約金(キャンセル料や手数料)を請求することができません。

企業としての注意点

企業が上記の契約類型に該当する契約を行う場合は、クーリングオフされることを考慮して契約することが重要です。

その際、気をつけるポイントは、①クレームを発生させない、②契約時の手続きをチェックする、③紛争に発展した場合の対応を考えておくということが挙げられます。

①クレームを発生させない

そもそも、上述の契約類型は紛争が生じやすい契約です。そのため、契約の際は、相手方に契約の内容を十分に説明して、クレームの発生を最小限に抑えることが重要です。現場での対応が難しい場合は、社内マニュアルを作成したり、社内研修を実地するなどの対策が必要となります。

②契約時の手続きをチェックする

上述のように、クーリングオフの期間は、法定の記載事項のある書面が交付されたときから進行します。そのため、書面を交付していなかったり、交付した書面に不備があると、クーリングオフの期間がいつまでも続くことになってしまいます。

したがって、交付する書面に不備が無いか、確実に交付されているかチェックすることが重要です。その際に確認する点は、以下のものが重要です。

  • 事業者の氏名・名称、住所、電話番号、代表者の氏名
  • 販売担当者の氏名
  • 商品名及び商標または製造者名
  • 商品の型式・種類、権利・役務の種類
  • 商品の数量
  • 商品・権利の代金、役務の対価
  • 代金・対価の支払い時期と方法
  • 商品の引渡時期、権利の移転時期、役務の提供時期
  • クーリングオフの告知(8ポイント以上・赤枠で囲み赤字で記載)
    書面受領日から●日間(対象により異なる)は書面により、撤回・解除ができること、その効力は書面を発した日に発生すること、違約金等を請求できないこと、既払金は速やかに返還することなどを記載
  • 契約の申込日・締結日

③紛争に発展した場合の対応

紛争に発展してしまった場合は、自社で対応するか、自社で対応するのが難しい場合は、弁護士に依頼することとなります。その際の対応も考えておく必要があります。