企業がフリーランスを活用する場合、基本的には契約関係なので、その条件は契約によって規定されています。
しかし、企業に比べるとフリーランスの立場は弱いので、フリーランスを保護する法律があります。
直近でも、経済産業省が「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」を公表しました。
今回は、企業がフリーランスと取引する場合の規定について解説します。
下請法は、企業の資本金が1000万円を超える場合には、フリーランスの属性を問わず適用されます。
下請法の詳細については、以下の記事を参照してください。
下請法が適用された場合には、企業側に以下のような義務が課されます。
また、下請代金の支払遅延や下請代金の減額はしてはいけません。
事業者とフリーランスとでは、立場の違いや交渉力の差があります。
独占禁止法では、「優越的地位の濫用」として規制しています。
例えば、フリーランスに対し「不当に不利益を与える契約を締結する」「キックバックなどの利益供与」などを規定すると、独占禁止法違反になります。
独占禁止法の「優越的地位の濫用」に該当すると、公正取引委員会からの行政処分等がされる可能性があります。
企業とフリーランスとの間では「請負契約」や「準委任契約」などを締結していると思います。
しかし取引態様によっては、労働基準法に抵触する(労働基準法上の「労働者」にあたる)可能性があります。
取引を行うフリーランスが、労働基準法上の「労働者」にあたる場合、企業に対しては、労働基準法が定めるルール(たとえば、賃金や労働時間)が適用されることになります。
労働基準法上の「労働者」にあたるかどうかは、主に、以下の点から判断されます。
たとえば、次の場合はなどは、「他人の指揮監督下で労働が行われている」といえる可能性が高くなります。
また、事業者が支払う報酬が、主に作業時間を基準に決定されていて、仕事の成果による変動が小さいような場合には、「指揮監督下における労働の対価としての報酬」といえます。
さらに、業務に必要な機械などをどちらが負担しているか、事業者への専属性の程度なども、「労働者性」を判断するうえでの考慮要素となります。
以上のようなことを総合的に考慮した結果、フリーランスが「労働者」と判断されてしまうと、「雇用契約」とみなされてしまい、残業代の支払いや契約解消ができないなどの不利益が生じる可能性があります。