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DEX(分散型取引所)に対する法規制を弁護士が解説

仮想通貨・デジタル通貨に関する法律

DEX(分散型取引所)の法律的注意点とは

DEXとは、暗号資産などの分散型取引所のことを言います。

DEXでは、ユーザーに、金銭などの価値分配を受ける権利を表したトークンが発行される場合があります。このようなトークンは、「LPトークン」と呼ばれたりします。

このLPトークンには、以下のような注意が必要です。

「集団投資スキーム持分」について

集団投資スキーム持分とは、法律上、当該権利を有する者が出資又は拠出をした金銭を充てて行う事業から生ずる収益の配当又は当該出資対象事業に係る財産の分配を受けることができる権利とされています。

ポイントは、「出資又は拠出をした金銭を充てて行う事業」、「財産の分配を受けることができる権利」です。

ここでいう「金銭」には暗号資産も含まれますので、暗号資産を出資する場合も、集団投資スキーム持分の定義に該当します。この「集団投資スキーム持分」に該当し、集団投資スキーム持分の発行者が自ら当該持分の勧誘をおこなう場合は、金融商品取引業に該当し、第二種金融商品取引業の登録が必要となります。

また、発行者が「金融商品の価値等の分析に基づく投資判断に基づいて主として有価証券又はデリバティブ取引に係る権利に対する投資」をおこなう場合も金融商品取引業に該当し(金融商品取引法2条8項15号)、原則として、投資運用業の登録が必要となります(以上、金融商品取引法28条・29条)。

LPトークンの保有者が、事業収益の分配を受けられる設計をする場合には、金商法の規制を受けますので、注意が必要です。

ガバナンストークンに対する規制

DEXでは、あるユーザーに対して、プラットフォームの運営に関する決定権・議決権を表象したトークンが発行される場合があります。このようなトークンは、「ガバナンストークン」と呼ばれます。

ガバナンストークンが、他の暗号資産と交換できる、他の取引所で取引できる場合には、資金決済法上の「暗号資産」(仮想通貨)に該当するかを検討する必要です。

トークンが暗号資産に該当するかですが、当ブログでも解説してきました。

トークンの法律的分類は、どうなっているのか?【暗号資産(仮想通貨)・ポイント・有価証券】【2023年1月加筆】

簡単にいうと、暗号資産(仮想通貨)とは、不特定の者との間で、現金や暗号資産(仮想通貨)とその他の相互に交換できるものです。典型的な例は、取引所に上場するなどです。

また、将来的に取引所に上場する可能性がある場合も、まだ未上場の状態でも暗号資産に該当するとされています。

よって、ガバナンストークンが、取引所に上場しているor将来的に上場するといって売り出す場合には、暗号資産に該当します。

暗号資産に該当する場合には、ガバナンストークンを販売する場合には、暗号資産交換業の登録が必要になります。暗号資産の登録は、非常に厳しい審査を通過する必要です。