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弁護士が語るブロックチェーンやスマートコントラクトの日本における法律の課題とは

IT企業のための法律

ブロックチェーン技術と現在の法律の衝突

ブロックチェーンスマートコントラクトは、画期的な技術ではありますが、現在の法律が想定していない技術です。

そこで、スマートコントラクトと日本の法律について、問題になりそうな点ついて、お話します。

ブロックチェーンと個人情報保護法

ブロックチェーンの特性として、データの改ざんが事実上不可能であることが挙げられます。

つまり、ブロックチェーン上に記録されたデータは、削除・訂正ができない状態で残り続けるのです。

修正ができないということは、その情報が誤っていた場合には、正しい情報や取引記録を追加するしか方法がないことになります。

例えば、仮にA→B間での取引あったとして、そこに法律上の無効・取消原因があれば、法律上は、その取引はなかったことになります。

しかし、ブロックチェーン上に記載されたA→B間での取引については削除することができないので、B→Aという取引があったと追記するしかないのです。

ブロックチェーンは、改ざんが難しいというのが、良い面ではありますが、誤った情報も修正できないのというのは、問題も生じます。

例えば、個人情報保護法の問題があります。

ブロックチェーン上に個人情報が記録された場合、個人情報保護法によって規制される「個人情報」になります。

個人情報保護法では、「個人情報取扱事業者は、利用目的の達成に必要な範囲内において、個人データを正確かつ最新の内容に保つとともに、利用する必要がなくなったときは、当該個人データを遅滞なく消去するよう努めなければならない」と規定されています。

これは、努力義務なので、罰則等はありませんが、法律上は、利用する必要がなくなった場合には、「消去すること」が求められています。

しかし、上記の通り、ブロックチェーンに記載されたデータについては、訂正自体はできません。これについては、どのような対応をすれば、法律上OKかは、不明確なのです。

非中央集権的(分散型)システムの問題

ブロックチェーンは、特定の管理者がいない非中央集権的(分散型)システムです。しかし、現在の法律が、特定の管理者がいることが前提になっていることが多いです。

例えば、個人情報保護法では、個人情報を管理する事業者が、法律を守るべき事業者になっています。

個人情報を管理する事業者は、個人情報の利用目的をできる限り特定することが求められています。

しかし、ブロックチェーン上の情報の管理者は誰かという問題があり、法律上の規制が及ばない可能性があります。

また、ブロックチェーン上に、個人情報が記録された段階で、情報が共有されるので、個人情報保護法上の第三者提供にあたる可能性があります。

第三者提供の場合には、法律上、本人の同意や記録義務があります。

5月30日から全面施行!改正個人情報保護法に企業はどう対応すればよいのか【解説記事まとめ】

しかし、ブロックチェーン上の情報については、管理者がいないので、この記録義務などが、誰に発生するのかが明確ではありません。

スマートコントラクトの問題

スマートコントラクトでは、契約・執行の自動化です。通常は、裁判所が行う強制執行を、自動化しようというものです。

契約・執行の自動化を有効に活用するためには、きちんとした法律関係を正確に記載しておく必要があります。

通常の手続きでは、弁護士や裁判所などの法律の専門家がいるので、対応できますが、これを法律の専門家でない人が行うと意図しない結果になる可能性もあります。

この意図しない執行が行われてしまった場合には、どう法律上、救済するのかを検討する必要があります。