現在、金融庁では、資金移動業や前払式支払手段(ポイント制)、収納代行や金融サービスの法整備についての議論をしています。
その中で、金融制度を審議している「金融制度スタディ・グループ」から、審議内容をまとめた報告書が公表されました。
「決済」法制及び金融サービス仲介法制に係る制度整備についての報告
以下、本報告書の中から重要なポイントに絞って解説していきます。
本報告書においては、資金移動業について、次の3つに分類し検討しています。
(1)「高額」送金を取り扱う事業者については、仮に現行の資金移動業に対して課せられている送金上限規制(1回につき100万円まで)を緩和し、高額送金を認める場合に対応が必要な点として、以下の点が指摘されています。
(3)数千円又は数万円以下の「少額」の送金のみを取り扱う資金移動業者に対し、仮に今後規制緩和を実施する場合には、以下の点が指摘されています。
一方で、(2)現行規制を前提に事業を行う事業者については、現行の枠組みを基本的に変えないことが適当であるとされています。
いずれにしても、今後上記分類に従い、それぞれの業務態様や、そのリスク事項が詳細に検討された上で、規制態様が変わっていくものと考えられます。
現状は、「為替取引」を行う行う場合には、資金移動業の登録が一律で必要とされています。しかし、今後は、少額送金のみを扱う場合には、簡易な手続き(届出など)でよいとされる可能性もあります。
資金決済法制定時に将来の課題とされていた点として収納代行、代金引換等についても検討がなされています。
この点、大手コンビニエンス・ストアによる収納代行や、大手運送業者による代金引換などの、
(1)債権者が事業者であり、かつ、(2)支払人が 「収納代行」業者に支払をした時点で債務の弁済が終了し、その後の 「収納代行」業者の信用リスクは債権者である事業者が負担することが確保されている場合には、一定の利用者保護は図られていると指摘しています。
一方で債権者が一般消費者である場合については、一般消費者が収納代行業者の信用リスクを負担することとなるため、利用者保護等の観点から、資金移動業として規制の対象とすることが適当であると指摘しています。
従来は、収納代行については、規制が及ばないとされてきました。
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今後、サービス内容いかんによっては、上記の資金移動業の規制対象となされる可能性があることが示されました。
以上のように、報告書では昨今の情報通信技術の発展等に沿った法規制について一定の指針が示されています。
今後は、上記指針をもとに詳細な議論がなされ法整備がなされていくことが予想されます。
事業者にとって規制態様の変化は、大きなビジネスチャンスにつながることも考えられますが、一方で、収納代行などについては、より厳しい規制が課せられ事業計画の再検討を余儀なくされる可能性もあります。
どちらにしても、事業者にとって大きな影響を与えうる法整備となることは間違いないと思われますので、今後の議論の動向を注視していきましょう。