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バイナリーオプション取引業者が逮捕!特定商取引法の訪問販売規制を解説【2022年10月加筆】

法律時事ニュース

バイナリーオプション業者が逮捕

バイナリーオプション取引にまつわる情報商材を販売し返金に応じなかった者ら4人が、特定商取引法違反容疑で逮捕されました。

この4人はバイナリーオプション取引に関する情報商材をSNSなどで知り合った20代前半の若者中心に50万円で販売していたとされます。

中身はバイナリーオプション取引の勝率が上がるなどとうたった投資マニュアルで、販売の際書面に契約解除に関する事項などを記載せず、また返金はできないなどと嘘の説明をしていたとのことです。

セミナー等で勧誘して販売していたとのことですが、今回は特定商取引法の訪問販売規制について見ていきます。

バイナリーオプション取引とは

バイナリーオプションとは、金融商品の一種で、FXと同様にその後の値動きに応じて損益が確定するものです。

FXと違い値動きがない相場でも利益を狙えるもので、ハイリスクハイリターンな面もあり行政からの注意喚起も行われています。

バイナリーオプションは金融商品なので、国内で取り扱うには金商法上の登録が必要です。

特商法上の訪問販売規制

訪問販売とは、販売業者が典型的には消費者の自宅に訪問するものですが、ホテルや公民館、また路上や喫茶店での販売もこれに含まれます。

特定商取引法の平成28年改正により、これに加えて勧誘目的を告げず、または他に比べ著しく有利な条件を告げて来訪を要請して販売する場合が追加されました。

この来訪要請には、電話、郵便、電子メール、FAX、ビラ、パンフレット配布、住居訪問に加えSNSや出会い系サイトなどを利用した場合も含まれております。

訪問販売の際には事業者は勧誘に先立って氏名、名称、勧誘目的、商品の種類を告げる必要があります。

またその氏名、名称、住所、電話番号、代表者氏名、担当者氏名、商品に関する事項、解除に関する事項などを記載した書面の交付が義務付けられます

消費者が拒否した場合には勧誘の継続やその後改めて勧誘することが禁止されます。

さらに禁止行為として、以下のことも挙げられております。

  • 虚偽の事実を告げる
  • 故意に事実を告げない
  • 相手を威迫し困惑させる
  • 勧誘目的を告げずに誘引した消費者を公衆の出入りする場所以外で勧誘する

また28年改正で相手方に契約に基づく債務を履行させるため金銭の借り入れや預金引き出しを勧めたり強要する行為も禁止されております。

相手方が借り入れの際に虚偽の申告をさせたり、銀行やATM、貸金業者に連行すること、執拗にクレジット契約を勧誘することも同様です。

クーリングオフの適用もある

消費者は法定の書面を受け取った日から8日以内であれば書面により申し込みの撤回や契約の解除をすることができます。これをクーリングオフと言います。

このクーリングオフに関して虚偽の事実を告げたり、威迫した場合にはこの期間経過後もクーリングオフが可能です。

また通常必要とされる量を著しく超える過量販売契約や不実告知、または故意に事実を告げなかった場合も消費者は意思表示を取り消すことが可能です。この取消権の行使期間は従来6月間でしたが28年改正で1年に伸長されています。

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特商法違反は刑事罰もある

特定商取引法違反は、刑事罰もあります。目的を隠して誘引行為は3年以下の懲役、300万円以下の罰金となり、法人には1億円以下の罰金に可能性があります。

また業務停止命令を受け、別法人で業務を行う場合も業務禁止命令が出せるようになっております。顧客勧誘の際にはこれらの規制に該当しないか、今一度見直しておくことが重要と言えるでしょう。