2016年5月25日に、仮想通貨に関する法案(資金決済法改正)が成立しました。
仮想通貨法の詳しい中身は、以前のブログでも解説をしました。
ただ、この法律は、規制の大枠を示しただけで、細かい規定は、今後の政令・規則に委ねるとされています。
今後、徐々に明らかになっていきますが、仮想通貨を取り扱う事業者には、どういった規制がかけられるのか、その方向性だけでも分かれば…と思っていたところ、衆議院・参議院の財政金融委員会での議論に、そのヒントがありましたので、その議論を参考に読み解いていきたいと思います。
参考:衆議院の財務金融委員会(平成28年4月27日)の質疑
参議院の財政金融委員会(平成28年5月24日の質疑
仮想通貨法では、仮想通貨事業者に分別管理が求められています。
この分別管理について、参議院の財政金融委員会(平成28年5月24日の質疑では、以下のように答弁がされています。
分別管理の具体的な方法につきましては、御指摘のとおり、内閣府令で定めることになりますが、例えば、利用者の金銭につきましては、信託、供託や会社財産を管理する銀行口座とは別の銀行口座への預金というような形で別個に管理することが考えられようかと思います。
また、利用者の仮想通貨につきましては、これは現状において供託とか信託というものはなかなか難しいというのがございますので、会社の仮想通貨を管理するウオレットとは別のウオレットにおいて、利用者ごとの保有量が帳簿により直ちに判別できる状態で管理していただくということを求めることを予定しているところでございます。
また、こうした財産の分別管理の状況あるいは会社の全体の財務諸表については、公認会計士または監査法人による外部監査を義務づけるということで、正確性をそうした形によっても担保しようと考えているところでございます。
分別管理の方法としては、(1)信託(2)供託 (3)会社財産を管理する銀行口座とは別の銀行口座への預金という方法を義務付ける可能性があります。
仮想通貨法では、仮想通貨事業者に「最低資本金」の要件を課すとしています。
そして、上記委員会の答弁の中で、
この最低資本金の要件として具体的な金額については、今後、内閣府令で規定していくことを考えておりますが、例えば、仮想通貨交換業者と業務が類似すると考えられます資金移動業者に対しましては、現在、事業開始時に最低一千万円の供託を求めているということに鑑みまして、これと同水準の資本金を求めることが考えられるかと考えております。
この答弁の中では、資金決済法の資金移動業者と同じ、1000万円の資本金を求めるとされています。
さらに、仮想通貨法では、仮想通貨事業者に、仮想通貨に関する利用者への説明、情報提供義務を課しています。
具体的な内容は内閣府令で定めることになりますが、例えば、仮想通貨は法定通貨ではない、法定通貨に基礎づけられておらず、価値が購入対価を下回るおそれがある、電子的に記録され、その移転はインターネット上で行われるため消失のおそれなどもあることなど、説明や、仮想通貨交換業者の商号及び登録番号や手数料などの契約内容についての情報提供の義務を課すことを考えております。
インターネット販売業者に必須の「特定商取引法の表示」に近い形で、情報提供義務が必須とされるかもしれません。
仮想通貨法では、事業者に対して、システムの安全管理を求めています。
具体的な措置の内容につきましては、今後内閣府令や監督指針などにおいて規定する予定でございますが、例えば、システムリスク管理に係る基本方針の策定、責任者の配置、定期的な内部監査など、システムに係る安全管理体制の構築を求める、それから、システム障害などの緊急時における対応計画、いわゆるコンティンジェンシープランの策定を求める、それから、システム障害発生時の当局への報告を求めるといったことを考えているところでございます。
これを見る限りは、個人情報保護法に規定されている「安全管理措置」のようなイメージかと思います。
現在も、個人情報保護法に則って、運用しているところは、特に大きな問題はなさそうです。