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医薬品等のロコミサイトにおける薬機法などの法律上の規制とは【解説】【2023年3月加筆】

インターネット法律

医薬品の口コミサイトって、OKなの?

医薬品の口コミサイトやランキングサイトを始めたい場合、何か法律上の規制はあるのでしょうか?これには、薬機法が関わってきます。

薬機法は、薬局開設者および店舗販売業者が、その薬局・店舗において販売しようとする医薬品について広告を行う際に、当該医薬品の購入者による当該医薬品に関する意見を表示することを禁止しています。

そして、これには、販売等しようとする医薬品の効能・効果等に関する購入者等の意見「ロコミ」を表示することも、これらの条項の禁止の範囲に含まれることが明示されています。

よって、薬局開設者または店舗販売業者である事業者が、そのウェブサイトにおいて利用者から投稿を受けた医薬品を使用した感想を掲載することが薬機法違反になります。

利用者の点数評価に基づいて人気のある医薬品等のランキングを掲載したりすることも、薬機法違反となる可能性が高いです。

医薬品等の広告による規制

薬機法は、医薬品等の広告の規制として、何人も、医薬品等について、以下のように規制をしています。

  1. その名称、製造方法、効能、効果もしくは性能に関する、虚偽もしくは誇大な記事
  2. その効能、効果もしくは性能について、医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事の広告・記述・流布をしてはならない

そして、このうち医薬品等の「広告」の規制については、厚生労働省からガイドラインが出ています。

「医薬品等適正広告基準」(厚生労働省医薬・生活衛生局長「医薬品等適正広告基準の改正について」)において具体的な基準の内容が示されています。

医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等」において、個々の基準の解釈適用についての行政の考え方が示されています。

この広告基準のうち、口コミサイトとの関係では、以下の規制が関わってきます。

効能効果等または安全性を保証する表現の禁止

広告基準は「医薬品等の効能効果等又は安全性について、具体的効能効果等又は安全性を摘示して、それが確実である保証をするような表現をしてはならない」と規定しており、医薬品等の広告における効能効果等または安全性を保証する表現の使用を禁止しています。

そして、この基準には、「愛用者の感謝状、感謝の言葉等の例示及び「私も使っています。」などの使用経験又は体験談的広告は、客観的裏付けとはなりえず、かえって消費者に対し効能効果等又は安全性について誤解を与えるおそれがある」として、原則として行ってはならないとされています。

よって、ウェブサイト上で利用者から投稿された医薬品等を使用した感想を掲載することは、広告基準および同解説により原則として禁じられている使用経験または体験談的広告に該当する可能性があります。

他社製品の誹謗広告の制限

また、広告基準は「医薬品等の品質、効果効能、安全性その他について他社の製品を誹謗するような広告を行ってはならない。」として、他社の製品の誹謗広告を制限しています。

そして、広告基準の解説等によれば、当該制限との関係で、いわゆる「比較広告」についても、「製品同士の比較広告を行う場合は、自社製品の範囲でその対照製品の名称を明示する場合に限定し、明示的、暗示的を問わず他社製品との比較広告は行わないこと。この場合でも説明不足にならないよう十分に注意すること」と説明されています。

ウェブサイト上で利用者の点数評価に基づいて人気のある医薬品等のランキングを掲載することは、広告基準および広告基準の解説等により禁じられている複数社の製品の「比較広告」に該当する可能性があります。