この記事の目次
近年、スクレイピング技術を用いて、膨大な情報の中から、有益な情報を収集し、収集されたデータを解析して、自社でデータベースを構築し、他社に提供するサービスが登場してきています。
そもそも、スクレイピングとは、ウェブサイトからウェブページのHTMLデータを収集して、特定のデータを抽出、整形し直すことをいいます。
データを取得する際には、自動的にデータを収集することにより、手動で情報収集を行う場合と比べて、
短時間で膨大な量のデータを収集することができることに特徴があります。
このような技術により、クライアントが必要なデータを迅速に提供できる、自社のウェブサービスのために、必要なデータベースを構築できることになるのです。
スクレイピングによって、収集するデータには、通常第三者が作成したネット記事や新聞記事などの「著作物」が含まれています。
このようなスクレイピング技術によって、他人の著作物を収集することは問題にならないのでしょうか?
著作権法には、一定の条件を満たすことにより、「情報解析のための複製」を著作権者の同意なく行うことを認めています(著作権法47条の7)。
よって、データベースの作成に関して、情報の解析を行う場合には、スクレイピング技術で情報を収集しても、問題がないことになります。
もっとも、以下のような行為をすることはできません。
情報解析目的で収集されたデータそのものについて、インターネット上で、そのまま配信することはできません。
情報収集した事業者としては、収集した情報をベースに、自社独自の解析加えるなどして、オリジナリティを出す必要があるのです。
スクレイピングの対象となったサイトの利用規約で、スクレイピングを禁止したり、
サイト内のコンテンツを商業目的で、利用することを禁止していた場合には、
スクレイピングにより情報を収集することは、利用規約違反、つまり契約違反になります。
このような場合には、スクレイピングの対象となったサイトの事業者から、民法上の債務不履行として、
損害賠償請求や当該データを使用することの差止請求がされる可能性があります。
もっとも、上記のように利用規約違反になる場合とは、会員登録などをする際に、利用規約が表示され、それに同意させた後に示されるコンテンツに限られます。
会員登録の必要がなく、誰でも見られるコンテンツの場合には、問題がないといえます。
以上により、スクレイピング技術で、法律的にどこまでできるかを、事前にしっかりと確認し、後ろ指されれないデータベース構築をしましょう!