従業員が、SNSによって、会社の秘密情報や顧客のプライベート情報を流してしまい、炎上する事件が後を絶ちません。
会社としては、それによって多大なる損害を被っているとして、従業員に対して、損害賠償請求することができるのでしょうか?
会社から従業員に対する損害賠償請求については、これまでに多くの事件がありました。
結論からいうと、従業員に対する損害賠償については、全額を請求することは難しいのが実情です。
従業員が労働契約上の義務に違反して会社に損害をあたえた場合は、契約違反として損害賠償責任を負うことになります。
しかし、これは資力に乏しい従業員にとって、過酷な結果になりかねません。
そもそも従業員のミスは、会社の責任もあるのではないか…ということで、
判例では、信義則(民法1条2項)に基づき、会社の従業員に対する損害賠償責任を制限するのが通例です。
会社は、従業員に対して、いくら請求できるのかということですが、これはケースバイケースです。
主な考慮要素としては、以下の3つが挙げられています。
例えば、従業員が故意に会社に損害を与えたような場合には、従業員への賠償は制限されません。
従業員が、会社のお金を横領したような場合には、会社は従業員にとして、全額請求することができます。
一方、従業員のミス(過失)によって、損害賠償をされてしまった場合、会社からの損害賠償請求は制限されることが多いです。
重大な過失が認められるケースでも、事情を考慮して、従業員の責任を4分の1や2分の1、場合によってはそれ以下に制限することもあります。
従業員によるSNS利用により、会社(サービス)が炎上した場合について、会社としては以下のような障害が生じます。
会社としては、上記の3点を、従業員に請求していくことになります。
もっとも、従業員のSNS利用については、うっかり投稿してしまい、炎上するということがほとんどだと思いますので、
会社からの損害賠償請求は、減額されることが通常です。
以上のように、会社としては、従業員がSNS利用によって、会社が損害が被った場合でも、従業員に全額の損害賠償請求をすることは難しくなります。
よって、事前に従業員に対して、SNS利用についての注意点をまとめた、SNSポリシーやSNS利用についての注意点の研修をするなど、
事前の対策をすることが大切になってくるのです。