昨年10月にPlay Station VRが発売され、大人気で現在も品薄状態が続いていますね。
また、VRを体験できるアミューズメントパークができるなど、まさにVRが、世間を賑わわせています。
これまでも話題になっていたAR。昨年、流行ったポケモンGOでもARモードが話題になりました。
ますます、我々の生活に溶け込んでいくARとVR。法律面では、どのような問題が想定されるのでしょうか?
PlayStation VRをみても分かるように、現在のVRが、ヘッドギアを装着し、ゲームを行うことになります。
VRで問題視されているのは,VRヘッドセットを使用することにより,VR酔い・短時間の意識喪失や吐き気・実世界でのつまづきや転倒・追突などです。
つまり、リアルな仮想空間に身を置くことになるので、普通のゲームに比べて身体への負担が大きくなりますし、VRのソフトは、実際に身体を動かすゲームも多いので、他人と一緒に行った場合には、接触事故などの現実世界での事故が生じる可能性が指摘されています。
このように、現実世界での事故などが起きた場合には、誰が責任取るのでしょうか?
PlayStation VRの例を取ると、ゲーム機やヘッドギアを製造したソニーなのか、ソフトを開発したメーカーなのかという問題です。
現在の法律でも、商品に「欠陥」があれば、製造物責任法で損害賠償請求することができます。
この欠陥とは、商品自体に欠陥がある場合はもちろんのこと、適切な説明がなされいないという説明不足による欠陥も含まれます。
事業者(ハード側とソフト側問わず)としては、安全な設計をすること、設計どおりに製造することだけではなく、取扱説明書などで、安全に使うための情報を提供することが求められます。
Play Station VRでは安全表示が新しくなり,プレイヤーは「使用前に周囲をよく確認し,障害物を片付ける」こと,もし乗り物酔いや吐き気などの症状を感じた場合は直ちに使用を中止するように呼びかけています。
また、実際に事故が起こった場合には、ハード側とソフト側の製造メーカーを訴えることが考えられますが、そもそも損害賠償などの請求ができるのかが問題になります。
VRは、ヘッドギアとコンテンツが合わさって、初めて臨場感のある映像が流れます。もし、それで事故などが起こった場合に、ヘッドギアなどの製造するハード側、コンテンツを製造するソフト側のどちらに責任があるのか(また、そもそも両方ないのか)が問題となるのです。
民法では、共同不法行為という制度があり、複数人が関与して他人に損害を与えた場合には、その全員が責任を負います。
つまりプレイヤーは、ハード側とソフト側の製造メーカー両方を訴えることができます。
この場合でも、プレイヤーに落ち度はなかったのか、ハード側とソフト側の製造メーカーの責任割合は、どのくらいかなどの問題が生じるのです。
今後のVRは、仮想空間で、買い物など、実際の生活ができるようになると言われています。そうなると、プレイヤーの個人情報を入力することが集められる場合も出てきます。
ハード側、ソフト側の事業者は、個人情報の取り扱いにも注意が必要になります。
日本でも2017年5月30日に、改正個人情報保護法が施行され、個人情報に関する取り扱いが厳しくなります。
また、EUでは「EU一般データ保護規則」が、2018年5月に発効される見通しで、EU域内の個人情報の取り扱いに、新たな規制が加わります。
次に、AR技術の法律問題には、どのようなポイントがあるのでしょうか?
ARサービスは、そのコンテンツが、位置情報を持ち、スマホのカメラに情報を重ね、あたかもその場所に存在するかのように表示することになります。
そこで、他人の土地(場所)に、許可なく情報を浮かべる行為に問題はないのかということが問題になります。
例えば、ポケモンGO!のように、他人の土地に、キャラクターが表れるようにした場合に、人が集まってきてしまってしまい、平穏な生活が送れなくなった場合の責任の所在などです。
また、その土地に表れるキャラクターが残忍なもので、土地の所有者が、迷惑しているといった場合、その土地の所有者は、AR事業者に対し、表示キャラクターの削除などができるのかといった問題もあります。
ただ、現状は、土地の権利とARに関する法律もなく、規制も特にない状態です。今後のルール作りに委ねられることになるのでしょう。
昨年、ポケモンGOが爆発的にヒットしましたが、それに関する事故なども増えています。
このような場合にゲームの提供事業者は、現実世界での事故を防止するためにどの程度の「注意義務」を果たすべきかという問題が出てきてます。
つまり、事業者に、プレイヤーが事故を起こさないようにする責任をどこまで負わせるのかというものです。
まだ、日本で判例などはありませんが、アメリカでは、事業者は、「危険な地域にはモンスターを表示させないような措置を取るべきである、このような措置を取っていない以上、注意義務を果たしたとはいえないのではないか」という意見も出てきています
事業者として、現実世界での被害を食い止めるために、どのような措置を講じるべきなのかは、議論の余地がありそうです。