自社サービス・プロダクトが、知的財産権を侵害していると他社から指摘された場合、どのような対応をする必要があるのでしょうか?
他社から警告状を受け取った場合、スタートアップ企業が確認すべきは、出資を受けてきた際の投資契約などです。
通常の投資契約であれば、自社のプロダクト/サービスについて、他社より権利侵害の警告を受けることは、報告事項になっているはずです。
したがって、弁護士や弁理士と相談しつつ、早めに投資家に警告状を受け取ったことを投資家に説明すべきです。
その際には、単に受け取った事実のみではなく、可能な限り速やかに、その対応方針も合わせて説明すべきだと思います。その際には、弁護士や弁理士と共に説明を行うことも考えられます。
警告状を受け取った場合、まずは、反論できるポイントがどこにあるか、検討する必要があります。
例えば、特許権の場合、自社プロダクトが、特許発明の構成要件を侵害していないといえるか否かという問題で反論するポイントがあるのか、無効論で反論するポイントがあるのか、それとも相手方が侵害している自社の権利があるのか等、検討する必要があります。
相手方との交渉状況によっては、相手が侵害を主張している権利(やその他の権利)について、特許庁に対して無効審判請求を行うことが考えられます。
無効審判においては、通常の裁判のように相手方との間で書面にて主張を交わし、その後必要に応じて口頭審理期日が開催され、審理を尽くした後、特許庁に当該権利に無効理由があるか否かを判断します。
無効審判で無効理由がある旨の決定がされた時には、原則として、当該権利は初めから存在しなかったことになります。なお、無効審判の平均期間は、10か月程度です。
このように、相当程度の審理期間が必要なので、侵害訴訟を提起された場合のカウンターとして無効審判請求を行う場合には、早期に手続をとる必要があります。
なお、無効審判において出された決定に不服がある場合は、知財高裁に控訴することになります。
相手方から訴訟を提起された場合には、当該訴訟における相手方の主張に反論していくことはもちろんですが、これは相手方の設定した上での戦いです。
自社から積極的に相手方に反訴や別訴訟を提起し、対抗することが考えられます。これは、自社で設定した戦いです。
また、相手方が訴訟提起時に出した場合のプレスリリースが自社との関係で虚偽事実の告知にあたる可能性もあるため、その場合には虚偽事実の告知流布行為にあたることを理由に当該行為の差止めや損害賠償請求を行うことが考えられます。