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サブスクリプションビジネス導入時の法律問題を弁護士が解説

IT企業のための法律

サブスクリプションサービスとは

サブスクリプションサービスとは、提供する商品やサービスの数ではなく、利用期間に対して対価を支払う方式のことをいいます。「月額定額制」などが、その最たる例です。

サブスクリプションサービスのメリットとしては、以下のようなことが挙げられます。

  • 毎月入金されるので、安定的な売上が得られる
  • 購入のハードルが下がる
  • 扱う商品・サービスが多ければ、プラットフォーム化しやすく、影響力を保持できる

「Spotify」、「Apple Music」などの音楽配信サービスが有名なところですが、他にも以下のようなサブスクリプションサービスもあります。

サブスクリプションサービスで、事業者が注意すべき法律

上記のように広がりを見せているサブスクリプションサービスですが、事業者が気を付けるべき法律を見ていきます。

景品表示法

サブスクリプションサービスは、「月額●●円で、~~し放題」というサービスが多いです。

例えば、「~~し放題」」と言っておきながら、実は、追加料金などがかかり「し放題」ではなかった場合「~~し放題」の内容が限定的であるといった場合には、景品表示法上の「優良誤認」「有利誤認表示に該当する可能性があります。

景品表示法に違反すると、以下などが科される可能性があります。

  • 措置命令などの行政処分
  • 刑事罰(2年以下の懲役又は300万円以下の罰金)
  • 課徴金(金額:対象商品・サービスの売上額の3%の金額 対象期間:3年間を上限)

ウェブサービスの表示や広告が景品表示法に違反するとどうなるのか?

ポイントの利用(資金決済法・前払式支払手段)

サブスクリプションサービスでは、予め、ユーザーが、サービス内のポイントを購入し、そのポイントをサービス利用料に充てるという方式を取っているところが多くあります。

このように、ユーザーが前もってお金を払い、サービス内で使えるポイントを買う場合には、資金決済法の「前払式支払手段」の適用を受けます。

「前払式支払手段」に該当すると、発行しているポイントの未使用残高(ポイントの総発行金額-すでに使用されているポイントの金額)が毎年3月末あるいは9月末において、1,000万円を超えたときは、内閣総理大臣への届出が必要となります。

また、そのほかには、事業者は、以下のような義務を負います。

表示義務

事業者は、発行するポイントの名称、発行者の名称などの法律で定められた一定の事項をウェブサイト内に表示する義務を負います(資金決済法に基づく表示の掲示義務)

供託義務

ポイントの未使用残高が1,000万円を超えるときには、未使用残高の2分の1以上の金額を営業所の最寄りの供託所に供託しなければなりません。

期限は、未使用残高が1,000万円を超えた日から2ヶ月以内です。1,000万円であれば、500万円以上のキャッシュを供託する必要があります。

行政庁に定期的に報告書の提出

また、事業者は、定期的に行政に報告書(ポイントの未使用残高や会社の運営体制)を提出しなければなりません。

このように、継続的な行政の監督を受けることになります。

資金決済法の法規制を回避するために

この資金決済法の「前払式支払手段」にまつわる義務を回避する方法があります。それは「ポイント」の有効期限を6ヶ月未満にすることです。

未成年者の利用

サブスクリプションサービスは、月額制であり、低額なサービスもあることから、未成年者の利用も想定されます。

しかし、未成年者の場合には、保護者の同意を得ていない場合には、いつでも契約を取り消せるとされています。

ということは、課金サービスを利用していたら、未成年者(又はその保護者)が取消しをし、今まで事業者に支払った分を返せと言われたら、事業者は、その料金を支払わないといけないのです。

よって、アプリ提供者は、未成年者の利用を想定するからには、上記の事態を避けるために、対策を講じる必要があります。

例えば、以下のような措置を講じることになります。

  • ユーザーの年齢確認
  • 保護者(法定代理人)の同意確認

ユーザーの年齢確認

年齢確認をさせる意味は、未成年者が嘘をついて、成年であるとして、有料サービスを利用した場合には、法律上、上記の取消を行うことができないからです(民法21条)。

経済産業省の電子商取引による準則では、事業者が有料サービスの決済画面上で、「未成年者の場合には、親権者の同意が必要である」と明確に表示した上で、生年月日を入力させた場合には、仮に未成年者が、虚偽の生年月日を入力して、成年者と見せかけた場合に、未成年者は、取消すことができなくなるとされています。

保護者(法定代理人)の同意確認

未成年者が有料サービスの取引をするには、保護者の同意が必要になります。しかし、アプリサービスで本当に保護者の同意があったのかを確かめるのは、困難です。

そのため、利用規約に、「保護者の同意が必要です」と規定することは必要です。

しかし、それだけでは十分ではなく、利用規約の同意画面や決済画面にも、「保護者の同意が必要です。」と注意喚起するなどの対策が必要です。

また、法律上、未成年者がお小遣いの範囲内で、有料サービスの取引を行う場合には、保護者の同意が必要ないとされています。

そこで、未成年者には、有料サービスの上限金額を定めるという方法も考えられます。後から、未成年者が取消を請求してきたら、「お小遣いの範囲内でしょ」と言えるようにしておくのです。

利用規約などの契約条件の整備

また、サブスクリプションサービスは、その利用条件などを明示する必要があります。そのためには、利用規約などを作成しておく必要があります。

必要になる条項は、以下の通りです。

月額料金、サービス内容の明示

月額料金、サービス内容については、利用規約の中で、きちんと明示していく必要があります。

これは、上記の景品表示法違反にならないようにするためでもありますし、ユーザーとの間とのトラブル防止のためでもあります。

月額料金の明示については、以下の項目がポイントとなります。

  • いつから、料金が加算されるのか(申し込んだ時期or事業者指定の時期)
  • 年間一括払いの方式がある場合には、途中解約の場合の措置(返金しないor何日以内であれば、返金可)

解約した場合のコンテンツの権利

サブスクリプションサービスの場合、月額料金という形で、そのサービス内のコンテンツを利用できることになります。

そうすると、販売とは違い、ユーザーが解約した場合には、そのコンテンツが利用できなくなるというサービスが多いかと思います。

そこで、利用規約には、その旨を明示する必要があります。

プラン変更の可否

また、複数の定額制サービスがある場合には、途中からプラン変更ができるのか、できるとして、いつからできるのかを明示しておく必要があります。

補償及び弁償

サブスクリプションサービスで、商品(例、洋服・靴など)を提供するようなサービスの場合には、ユーザーが、当該商品を破損などをしてしまう可能性があります。

その場合に、事業者として、どのように対応するのかを明確にする必要があります。以下のような項目を定めておく必要があります。

  • 前項の補償又は弁償の要否については、誰が判断するのか(事業者の裁量か)
  • その場合の金額の算定方法

サブスクリプションサービスは、万全の法対策を

サブスクリプションサービスは、どんどん広がっていくモデルです。

しかし、一方で、法的なことを考えずに行うと、後から痛い目に遭う可能性もあります。

事業者としては、しっかりと法対策を行い、サブスクリプションサービスを行うようにしましょう。


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