一般にSTOに参加をしようとする投資家において、当該STOにおいて取得するセキュリティトークンが転売可能であることは、STOへの参加の有無の判断における重要な要素となります。
すなわちインターネット上でセキュリティトークンの取引のためのプラットフォームが提供されていることが1つの重要な要素になると考えられますが、このようなセキュリティトークンの取引のためのプラットフォームを提供する行為については、金融商品取引業に係る規制との関係で、以下の点が問題となります。
まず、セキュリティトークンの取引の場を提供することが有価証券の売買の媒介に該当する場合、金融商品取引法上の金融商品取引業の登録が必要です。
金商法2条8項2号にいう「媒介」とは、他人の間に立って、他人を当事者とする法律行為の成立に尽力する行為をいいます。
具体的にいかなる行為が「媒介」に該当するかは必ずしも明確ではないものの、積極的な勧誘行為の存在は要件とされておらず、たとえばインターネット上に掲示板を用意して機械的に取引を成立させるような取引は「媒介」に該当するとされています。
また、株価や金融情報を提供している事業者についても、複数の金融商品取引業者等が提示している気配に一覧性があり、専用情報端末の配布や注文、交渉のためのリンク等の設置をしている場合には、「媒介」に該当します。
一方、第三者が金融商品取引契約に直接かかわりなく単に個別顧客情報を金融商品取引業者等に知らせる行為は、媒介に当たらず、基本的に「紹介」に留まるとされています。
セキュリティトークンの取引の場を提供する行為が有価証券の売買の媒介に該当するかは、当該取引の場の事情を踏まえて検討することが必要があるのです。
セキュリティトークンのセカンダリー取引のためのプラットフォームが、「金融商品市場」(金商法2条14項)に該当する場合、それを提供する事業者は、開設のための免許を受けなければなりません。
一方、セキュリティトークンのセカンダリー取引のためのプラットフォームが私設取引システム(いわゆるPTS)に該当する場合には、PTS業務を行う事業者は、第一種金融商品取引業の登録およびPTS運営のための認可が必要です。
ここでいう私設取引システム(PTS)業務とは、有価証券の売買またはその媒介・取次・代理であって、システムを使用して同時に多数の者を一方の当事者または各当事者として売買価格の決定方法または類似する方法により行うものをいいます。
セキュリティトークンのセカンダリー取引のためのプラットフォームを提供する場合に、次のような点については、監督当局との対話を含め、実際のサービス内容に即した慎重な検討が必要になります。
以上のようにセキュリティトークンの取引については、金商法上の規定が関わってきます。金商法は罰則も重く、金融庁としても取り締まりを強化しているところです。
事業者としては十分注意しましょう!