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ベンチャー企業が出資(株式)を募集する際の注意点

IT企業のための法律

スタートアップ・ベンチャーとっての出資の募集

ベンチャー企業が出資を受ける場合に、自社の株式を買ってもらうように交渉していきます。

この株式を買ってもらうように交渉する行為が、金融商品取引法上の「募集」に該当するときは、金融商品取引法上の開示義務を負うことになります。これに対し、金融商品取引上の「私募」に該当する場合には、開示義務はありません。

私募とは、少人数(50名未満)の投資家に対する申込みの勧誘(少人数私募と呼ばれます。)や適格機関投資家(証券会社や銀行など)に対する、申込みの勧誘(プロ私募と呼ばれます。)のことをいいます。

募集に該当する場合には以下に述べるような対応が必要となりますので、私募の要件を満たす設計が望ましいといえます。

法律上の「募集」とは

「募集」とは、多数の者(50名以上)に対して新たに発行される有価証券の取得の申込みの勧誘をいい、売出しとは、50名以上の者を相手方として、既に発行された有価証券の売付けの申込み又はその買付けの申込みの勧誘をいいます。

未上場のスタートアップ・ベンチャー企業であれば、募集人数を50名未満とすることが考えられます。「募集」に該当する場合には、以下のような規制があります。

有価証券届出書の記載内容

有価証券の発行が上記募集又は売出しに該当する場合は、有価証券届出書を提出が必要です。その記載内容は証券情報と企業情報です。

証券情報としては、発行される有価証券の種類や数、募集の方法、発行価格、申込み及び払込みの期日や場所等々が記載されます。企業情報としては、企業の概況や事業の状況、設備の状況等々が記載されます。その他、保証会社等についての情報も記載されます。

継続開示制度

金融商品取引所に上場されている有価証券の発行者は定期的に有価証券報告書を提出する必要がありますが、上場会社ではなくとも、上記の有価証券届出書を提出した有価証券の発行者も定期的に有価証券報告書を提出する必要があります。

有価証券報告書の提出には、市場に流通している有価証券について定期的に必要な情報を開示させることで投資家を保護するという意味がありますが、企業にとっては、情報開示によって企業の信用を高め、有利な条件での資金調達を可能とするツールと捉えることも可能です。

社債により資金調達を行う場合

社債により資金調達を行う場合も、上記の金融商品取引法による開示義務の対象となります。そのため、社債にて資金調達を行う際にも、上記の開示義務の対象とならないよう、私募となるような制度設計を検討するとよいでしょう。

それに加えて、社債を発行する場合には、原則として社債管理者の設置が義務付けられ、この社債管理者は銀行、信託銀行等に委託する必要がありますので、これを維持するためのコストが生じる点にも注意が必要です。

もっとも、各社債の金額が1億円以上の場合、あるいは発行する社債の総額を社債1口の最低金額で割って50を下回る場合であれば、社貸管理者を設置する必要はありません。

例えば、2億円を社債で調達しようとする場合に、1口の最低額が200万円であれば、この金額で割ると100となるので、社債管理者の設置が必要となります。そのため、1口の最低額について400万円を超える金額にすることによって社債管理者の設置義務を回避することができます。

このように、社債で資金調達を行う場合には、上記の私募の要件を満たす。ようにするとともに、社債管理者の設置義務が課されないような社債の金額を設定するとよいでしょう。