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BtoC向けサービスの利用規約が無効になる場合を弁護士が解説

IT企業のための法律

無効となる可能性のある利用規約の内容

利用規約が契約内容となるためには、当然ですが利用規約の内容が法律に違反しないことが必要です。

いくら利用規約を掲示して同意ボタンを設けたとしても法律に違反する内容であれば利用規約自体が無効となってしまいます。

そこで、以下のような条項は消費者契約法上、無効となる可能性があります。

  • サイト運営者の消費者に対する債務不履行資任、不法行為資任、契約不適合責任等の損害賠償責任を全面的に免責(サイト運営者側の故意・重過失による責任については上限を設けるなど一部制限する規定を含む)する条項
  • サイト運営者の債務不履行等がある場合においても契約解除ができない・サイト運営者に解除権の有無を決定する権限を付与する条項
  • 契約解除(キャンセル)に関し、キャンセルによってサイト運営者に生じる損害の平均額を超えたキャンセル料を消費者に課す条項
  • 消費者に対する遅延利息が年率14.6%を超える条項
  • 民法、商法その他の任意法規に比べて、消費者の権利を制限し又は義務を加重する条項であって、消費者の利益を一方的に害する条項

また裁判例では、サイト運営者に故意又は重過失が認められる場合における免責条項は、無効になる可能性が高いことに注意が必要です。

自動継続条項と消費者契約法10条

利用規約中に自動継続条項を設けることにより、消費者の新たな申込み又は承諾なしに、継続にかかる売買契約が成立するとの仕組みをとる場合があります。

このような自動継続条項は、「消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項」に該当し、消費者契約法10条に違反するとされる場合があり注意が必要です。

この点、「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」は、自動継続条項の有効性について概要以下のとおりの整理を行っています。

  1. 当初の申込み時点において、利用規約の中で自動継続することが購入者にとって見やすい位置に必ず表示され、これに同意する旨のチェックを入れると申込みが完了する仕組みとなっている場合、継続購入に対する消費者の予測可能性が担保されており、実質的に契約を更新しないという意思表示をする機会が与えられた内容と考えられ、無効とはならない可能性が高い。
  2. 他方当初の申込画面において、購入する契約が自動継続することの説明がなくかつその旨を記載した利用規約がウェブサイト上には存在するものの申込画面からリンクされていないなど購入者が利用規約の内容を容易に確認できる状態ではなかったような場合、実質的に契約を更新しないという意思表示をする機会が与えられない内容と考えられ、無効となる可能性が高い。

したがって、事業者側としては、最終的な「購入」の意思表示のボタンの直近に、期間満了前に連絡がない限り引き続き契約が更新されるとみなされる旨の画面や表示を設定することが必要です。

利用規約についての説明義務

消費者契約法3条1項は、事業者に対して消費者との契約の内容が「明確かつ平易なもの」となるよう配慮する努力義務を課しています。

そこで、利用規約はできるだけサイト利用者にわかりやすく記載する必要があります。

この規定は努力義務であることから、仮に利用規約が難解であったとしても、利用規約に基づく契約が無効になるものではないと考えられます。

しかし、サイト運営者が利用規約に記載された重要な事項について十分な説明を行わず、これにより利用者が取引条件を誤認して契約した場合には、損害賠償が課せられたり、利用規約の有効性が制限されたりする可能性があると考えられています。

また、「消費者に対してある重要事項又は当該重要事項に関連する事項について当該消費者の利益となる旨を告げ、かつ、当該重要事項について当該消費者の不利益となる事実……を故意……又は重大な過失によって告げなかった」場合について、消費者が不利益な条項は含まれないと誤信して契約を申し込んだ場合には、契約を取り消すことができると定めています。

そこで利用規約において、サイト利用者に有利な事項だけは強調し、不利益な事項は説明せず難解に規定した場合には、サイト利用者からのキャンセルができる可能性があることに注意が必要です。