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スポンサー契約をする際に法律上気を付けるべき点を解説【2024年2月加筆】

IT企業のための法律

スポンサー契約

スポンサー契約とは、企業や個人が、イベント、リーグ、 チーム、選手等に一定の金銭(スポンサー料)その他の経済的・物的支援をおこなう契約をいいます。

スポンサーは、自社名や商品名の露出効果に加え、スポーツや選手から想起される良いイメージによる自社イメージの向上を図ります。

通常は、資金提供の対価として、いわゆる「冠大会」(大会名の一部に自社名を含むもの)の開催やウェア等に付される自社名の表示、会場内における自社や自社商品の広告掲示等といった広告宣伝をおこなう権利を得たり、大会ロゴや選手肖像の利用権、試合観戦時の特別観覧席の利用権やスポンサー報待券の割り当てなどの優遇を受けることができます。

また、スポンサー企業やその製品の広告宣伝のため所属選手等がスポンサーのCM等に出演するエンドースメント契約の締結がセットになっていることも多いです。

金銭ではなくテニスラケットやウェア、靴などの用具やサプリメントなど を提供する契約を特にサプライヤー契約とよぶこともある。

球場やスタジアム等の競技施設名の一部に企業名等をつける権利を得る代わりに一定額を支払う内容のネーミングライツ契約や、個人競技の選手が結ぶ所属契約といわれるものもスポンサー契約の一種であります。

トップアスリートともなれば様々な業種の企業がスポンサーにつきます。たとえば男子プロテニスの錦織圭選手は 日清食品と所属契約を結びつつ、ユニクロ、ラケット製造メーカー、信販会社等10社以上がスポンサーについています。

今後は、従来型の企業からの資金提供に限らず、選手個人が直接クラウドファンディングにより活動資金等を調達するのも新たなスポンサーシップのあり方のひとつといえます。

スポンサー契約の内容

スポンサー契約においては、スポンサーサイドからすれば、提供する資金額、資金提供と引き換えに得られるメリットの内容等が重要となり、スポンサーシップを受ける側からすれば、それにより負う制約が得られる資金に見合うものかが重要となるといえます。

スポンサー契約書にも、これらの内容を主に定めることになります。

スポンサーサイドとして特に留意すべきは、以下などが挙げられます。

  • スポンサーランク(資金提供額により露出の方法や優遇の内容が差別化されていることも多い)
  • 独占的スポ ンサーかどうか(同一業種については一企業のみがスポンサーとなれる制度が採用されることもある)
  • 自社名や自社商品の広告表示を効果的におこなえるか (広告可能な地理的・時間的範囲、広告表示が可能な場所(たとえば、ウェアの前面中央か背面か)
  • 出場選手を起用した広告の可否、競合他社による広告の有無など)
  • スポンサー契約期間や更新の有無・方法(トップクラスのアスリートに対しては「生涯契約」をオファーすることもある)
  • 大会等の中止・延期の場合の処理

放送・配信関連事業者がリーグや大会のスポンサーになる場合は、以下についても重要です。

  • 放送・配信地域(全世界か、日本全国か、ローカルエリアか)
  • 対象試合の限定の有無(リーグ管轄の試合か、クラブ管轄の試合か、ホームかアウェイか)
  • 放送・配信可能対象試合は、放映権がリーグに よって一括管理されているのか、各クラブが有するのかという放映権の管理・販売方法

スポンサーサイドが注意する事項

競技に関する選手肖像についてはリーグやクラブ等が管理しており選手の一存では利用を許諾できないことが多いです。

たとえ選手が普段試合で着用しているユニフォームであってもそれを着用してスポンサー企業のCMに出演するするには選手の出演とは別に許諾を得る必要があるので、しかるべき権利処理がされているかの確認が必要です。

また、スポンサーとしては、スポンサー関係にあることで企業イメージダウンしてしまうといったことがないよう、しかるべき場合には柔軟にスポ ンサー関係を解消できるようにしておくことも考えておく必要です。

スポンサーサイドとしては、スポンサー企業のイメージを低下させる行為を禁止し、それを解除事由のひとつとする条項を盛り込んでおく必要が生じます。またスポンサー先において不祥事があった場合の関係解消条項も含めておくべきです。