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ソフトウェアを複製・コピーする場合の注意点とは

システム開発のための法律

ソフトウェアをコピーしていい場合がある

ソフトウェアに関しては、何かしらのオリジナリティがあれば、著作物として著作権法で、保護されます。そのソフトウェアを権利者に、無断で複製、コピーすると、著作権侵害になります。

ですが、一定の場合に限り、例外的に、複製権侵害にならない場合があります。今回は、会社でソフトウェアをインストールする際に知っておくべき、ソフトウェアの複製権侵害の内容と、例外的に侵害にならないパターンについて、解説します。

ソフトウェアの著作権

著作権で、保護される著作物とは、作成者の何らかのオリジナリティが表現されているものをいいます。

ソフトウェアは、作成者がオリジナリティを発揮して作成したプログラムが含まれていますので、基本的にソフトウェア全体がプログラムの著作物であると考えられます。

したがって、著作権者に無断でソフトウェアをコピーすることは、著作権を侵害する行為に該当します。

ソフトウェアのコピーとは

著作権法上のコピーとは、著作物を「有形的に再製すること」と定義されています。

「有形的に再製」とは、物に固定された状態で、著作物の同一性を維持したまま新たに著作物を作り出すことをいいます。

そのため、ソフトウェアをCD-Rにコピーする行為だけでなく、パソコンのハードディスクにコピーする行為(インストールする行為)、サーバーにアップロードして保存する行為のいずれも、「複製」に該当することになります。

例外的にコピーが許されるパターン例1(ライセンス)

市販されているソフトウェアには、1つのパッケージを購入すれば、複数のデバイスにインストールできるとされているものがあります。

これは、法律的に見れば、ソフトウェアの著作権者が、最初から一定の複製行為を許諾している、つまり購入者に対してライセンスを付与していることになります。

1回しかインストールが許されていないパッケージよりも値段は張りますが、インストール1回あたりの値段は安く設定されています。

著作権の観点からは、複数のデバイスを利用することが分かっている場合は、複数回のインストールが許諾されているパッケージを購入して使うのが、もっとも安全です。

例外的にコピーが許されるパターン例2(バックアップ)

1回しかインストールが許されていないパッケージでも、著作権法上、複数回のインストールが認められるパターンがあります。

  1. プログラムの著作物の「複製物の所有者」であること
  2. 自ら当該著作物を電子計算機(パソコン)において実行するためであること
  3. その実行のために必要な限度での複製であること

以上の要件を満たす場合には、著作権者の許諾を得ることなく複製することができます。

この規定は、バックアップをとることも複製権侵害になるのは不都合だ、と考えられて創設されたものですので、バックアップをとるためにプログラムをCD-Rにコピーしたりサーバーに保存する行為に適用されます。

もっとも、当然ではありますが、この規定は正規品を複製した場合のものであり、違法複製物(違法ダウンロードも含みます)を複製したとしても、この条文の適用はありません。

また、サーバーに保存した場合に、第三者がこれにアクセスできるようにすると、要件(2)や(3)を満たしませんので、原則通り複製権侵害となります。

例外的にコピーが許されるパターン例3(私的使用)

前述のバックアップとも関係しますが、プログラムの複製が許されるパターンとしては「私的使用のための複製」もあります。

家庭内などの限られた範囲内で使用する場合には、無断で複製がされたとしても著作権者に与える経済的ダメージは少なくて済みます。そのため、家庭内などの限られた範囲でのコピーは、著作権侵害にならないとされているのです。

もっとも、会社の業務で使用するために著作物をコピーすることは私的使用のための複製には該当しない、つまり複製権侵害だと考えられています。

過去の事例では、社内で他人の著作物を無断コピーして損害賠償請求を受けた会社もあります。

この事案は、プログラムをパソコンにインストールしたのではなく、他人の著作物である設計図を無断で複製したというものでした。裁判所は、私的使用目的のための複製であることを否定し、設計図の使用を許諾するときのライセンス料が通常5%であるとして、被告に600万円の支払を命じました。

このように、著作権者に無断で著作物をコピーし、会社内部で使用すると、高額な損害賠償請求を受けるおそれがあります。