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ウェブサービスにおける利用規約には、サービス利用上の条件や,ユーザーが遵守すべき義務等が定められます。
その中には、利用者が利用規約違反の場合には、制裁措置が定められることが通常です。
例えば、アカウントの停止や,サービス提供の停止,会員資格の剥奪(再登録の禁止)等々…。
このような利用規約違反の場合に,アカウントの停止や,サービス提供の停止等の処分を行うことはできるのでしょうか?
利用規約のウェブサービスのシステム上の不具合を悪用したことから
アカウントの停止措置をとられたユーザーからの損害賠償請求の事例(東京地裁平成22年1月27日判決)
ネーミングの不適切性からキャラクターを削除されたユーザーによる損害賠償請求の事例(東京地裁平成21年9月16日判決)があります。
いずれの裁判例においても,利用規約違反の場合における制裁を定めた条項の有効性が認められ,
当該条項に基づく措置に違法性はないとして,損害賠償責任が否定されています。
上記を含めた裁判例に照らせば,利用規約において,禁止事項や,制裁措置を明確に定めることで,利用規約に基づく制裁措置の有効性は認められるのです。
このように、利用規約を作成する際には、自社ウェブサービスで想定されるリスクを洗い出し、
その旨を禁止事項に落とし込み、利用規約違反に対する制裁規定を入れておく必要があるのです!
利用規約に、きちんと制裁措置が定められていれば、利用者に対して制裁を加えることができますが、どんな条項でもいいというわけではありません!
上記の裁判例においても,①措置の明確性や,②措置の相当性が問題になるのです!
利用規約を作成する際には、制裁措置の規定が明確か否か,禁止事項や制裁措置に合理性が認められるものであるかについて,十分注意する必要があります。
あまりにも、事業者に有利、ユーザーに不利なものを作成してしまうと、消費者契約法によって、無効とされてしまう可能性もあります。
これらを押さえない制裁措置が無効となってしまう可能性があるのです。
それでは,利用規約に違反した場合に,ユーザーに違約金等の名目で損害賠償の義務を課すことは可能なのでしょうか。
消費者契約法においては,消費者契約の解除に伴う損害賠償等の額を定める条項において,解除に伴い事業者に生じる平均的な損害の額を超えるものである場合には,その超える部分について,無効とする旨が定められています。
この「平均的な額」は,解除の事由,時期等の区分に応じて算出されるのです。(同法9条1号)
なので…テキトーに、利用規約違反は、100万円の違約金!という規定は、無効になってしまう可能性が高いのです!
以上のように、利用規約を作成する際には、様々ことを考慮する必要があります。
利用規約を作成したけど、実際無効になってしまった…なんてことのないようにしましょう!