インターネットの求人サイトをみると、条件のところに「月給30万円(固定残業代を含む)」と書かれていることがあります。
うちも、「固定残業代」の制度を取っているよ!だって、固定残業代の制度を取れば、いくら残業させても、残業代支払わなくていいんでしょ!と思っている経営者の方も多いのではないでしょうか?
はっきりいいますが…それは間違いです!
この「固定残業代」とは、どういうものなのでしょうか。
通常は、労働者が1日8時間を超えて働くと、その超過時間分は残業代として、割増賃金を支払う必要があります(労働基準法37条)
ただ、一定程度、時間外労働が日常的に発生してしまう企業も多いはず。そこで、割増賃金を計算する手間を省くために、「固定残業代」という方法が考えられたのです。
労働基準法上、明文化されているわけではありません。ただ、以下の条件を満たす場合には、判例も固定残業代制度を認めています。
1 基本給のうち、通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分が明確に区別されて合意されていること
2 労働基準法で決められた計算方法による割増賃金の額が、「固定残業代」の額を上回るときは、その差額を支払うことが合意されていること
3 実際に時間外の労働をした場合は、差額賃金が支払われていること
この判例から見て分かるように、規定された労働時間を上回る仕事したのであれば、その超過時間についての残業代を、法律にしたがって支払う必要があるということです。
えっ…それだと結局、企業側は労働者が働いた時間を正確に管理する必要があるってこと!?
はい、その通りです!
会社からみれば、残業が少ない月は定額なので働いていない分も余計に払い、一方、残業が定額相当部分を越えたら超えたで差額を支払うことになり、固定残業代制度は会社にとって本来メリットのある制度とはいえないのです。
しかも、働いた時間にかかわらず残業代を少なめに固定するのは、法律違反です。
労働者が働いた時間分の賃金を、支払わないことは「6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金」などの刑事罰に問われる可能性もあります。
また、未払残業代請求をされるリスクもあります。
企業経営者として、このような制度を導入する際は、きちんとどういう制度かを認識して、判断するようにしましょう!