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ドライバーと、利用者(乗客)をマッチングさせるライドシェアサービス。これからのトレンドであるシェアリングエコノミーサービスの1つです。
このようなライドシェアサービスですが、法律的には、どのような問題があるのでしょうか?
日本において、自分の車に、他人の同乗させる場合には、道路運送法上の規制がかかる場合があります。具体的には、「旅客自動車運送事業」に該当するかということが問題になるのです。
「旅客自動車運送事業」に該当する場合には、ドライバーは行政への許可・登録が必要になり、この許可・登録を受けないで行うと「白タク」営業になり、違法になってしまうのです。
法律上、旅客自動車運送事業は、以下の通りとされています。
旅客自動車運送事業に該当するかで重要なのは「有償」かどうかです。
当たり前ですが、自家用車に、友達を乗せるのは、問題ないわけです。それを事業として、有償で行うのが問題になります。
「有償」に当たるかは、国土交通省から、通達が出ています。
有償に当たらないケースは、以下のようなケースです。
・サービスの提供を受けた者(乗客)からの給付が、「好意に対する任意の謝礼」と認められる場合
⇒運転してもらったことによるお礼として一般的な範囲で受け取るであれば、問題ありません。もっとも、それが、週何回も続いてしまうと、「お礼」とは言えなくなる可能性があります。
・金銭的価値の換算が困難・又は流通性が乏しい物が支払われる場合
⇒自宅でとれた野菜(地方農家の場合)をドライバーに送る場合は、「有償」には当たらないとされています。ただし、商品券・貴金属等の換金性・流通性の高いものはこれにあたりません。
・運送行為が行われる場合にのみ発生する費用であって、客観的、一義的に金銭的な水準を特定できるもの
⇒通常はガソリン代、道路通行料、駐車場料金のみがこれに該当するとされています。いわゆる運転行為に発生する実費部分のみです。
この仕組みを使ったものとして、ライドシェアサービスである「notteco」というサービスがあります。
このサービスは、相乗りを行う自動車の所有者と、これに乗せてもらう利用者とをマッチングさせるサービスですが、受け取る対価は、上記の実費のみとされています。よって、道路運送法上の規制の対象外という解釈のもと、運用されています。
ドライバーの所有する自動車を使用せずに、乗客の所有する車に、ドライバーを乗せる場合には、ドライバーは、運転するというサービスだけを提供するだけですので(1)自家用自動車を(3)運送の用に供するとはならないので、道路運送法の規制の対象外とされています。
実際に、移動に困っている高齢者等を地域で運転できる方とマッチングし、地域の移動の課題を解決する新しい交通の仕組み「あいあい自動車」があります。
自動車は、乗客がレンタルしたレンタカーを利用し、ドライバーは、運転するというサービスだけを提供する場合には、どうなのでしょうか。
これについては、旅行者に対し、ウェブサイトを介して旅行者に代わってレンタカーを運転するドライバーの情報を提供するサービスを実施するサービスに対して、グレーゾーン解消制度による行政の回答があり、自動車とドライバーが実質的に一体として提供されるのでなければ、道路運送法の対象とはならないという判断をしています。
ただし、以下のような場合には、ドライバーと自動車が実質的に一体として提供されていると判断され、道路運送法に抵触するとされています。
経済産業省ードライバーマッチングサービスに係る 道路運送法の取扱いが明確になりました。
以上のように、あくまでも、利用者が借りたレンタカーについて、ドライバーをマッチングさせることが、必要なのです。