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アプリのプロモーションにおける注意するべき法律【景品表示法】【2022年10月加筆】

IT企業のための法律

プロモーションにおけるプレゼント規制

アプリ内で、ユーザーに対するプロモーションの一環としてプレゼント企画を行う場合には、そこでプレゼントの対象となるコンテンツ等が景品表示法上の「景品類」に該当するかどうかが問題となります。

この「景品等」に該当すると、プレゼントなどの金額に上限が課されています。

法律上の「景品類」とは、以下のものが該当します。

  • 顧客を誘引するための手段として
  • 商品・サービスの取引に付随して提供する
  • 物品、金銭その他の経済上の利益

このうち、特に問題になるのは、(2)商品・サービスの取引に付随して提供するというものです。

景品表示法の対象になる場合・ならない場合

例えば、プレゼント企画の内容が、「○月○日にログインしたユーザー全員に、レアアイテム(やキャラ)がプレゼントされる」というものであれば、「(2)商品・サービスの取引に付随して提供する」には該当せず、プレゼント企画におけるアイテムやキャラの配布に関して景品表示法の景品規制は適用がないといえます。

一方で、プレゼント企画の内容が「○月○日に××アイテムを購入したユーザーに、レアアイテム(やキャラ)がプレゼントされる」というものであれば、ユーザーがアイテム購入という取引を行ったことを条件として他の経済上の利益を提供しており、「(2)商品・サービスの取引に付随して提供する」に該当し、景品規制の適用があります。

また、購入などを「条件」とはしない場合であっても、レアアイテムをゲットするためには、特定のクイズに回答する必要があるという設定がある場合に、アイテムを購入したユーザーにのみその回答やヒントが与えられるなどは、景品規制が適用されます。

そして、上記のように「全員に対してプレゼントしますよ」というのは、「総付景品《そうづけけいひん)」と呼ばれ、以下のようなプレゼント限度額があります。

取引価額 景品類の最高額
1,000円未満 200円
1,000円以上 取引価額の10分の2

たとえば、あるレアアイテムをゲットするために通常アイテム(ゲーム内通貨で500円相当)を購入する必要があるという場合では、「取引価額」が500円になるので、プレゼントされるレアアイテムは、200円相当以下のものでなければならないということになる。

また、抽選で、限定アイテムや現金を提供する場合には、以下の限度額規制に従う必要がああります。

懸賞による取引価額 景品類限度額
最高額 総額
5,000円未満 取引価額の20倍
懸賞に係る売上予定総額の2%以下
5,000円以上 10万円

たとえば、上の例で懸賞に申し込むために購入が必要となる特定アイテムが200円であれば、抽選で提供される限定アイテムや現金は、1件につき上限が4000円ということとなり、懸賞として提供される景品類の総額は、当該特定アイテムの懸賞対象期間中の売上予定総額の2%以下でなければならないということになります。

さらに、上記の景品額の上限規制とは別に、いわゆるコンプガチャに関しては、その提供そのものが禁止される「カード合わせ」に該当するため、これを行うこと自体が景品表示法違反になります。

参考記事:オンラインゲームでの有料ガチャ規制についてIT弁護士が解説

プロモーションにおける表示規制

景品表示法では、事業者が、自己の供給する商品・サービスの取引に関して、以下のような不当な表示をすることを禁止しています。

その品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示すもの(優良誤認表示)
つまり、盛った表現を禁止しています。

たとえば、有料ガチャにおいて、レアキャラの出現確率を実際の確率よりも高い数字で示した場合、優利誤認表示に該当することになります。

実際に、消費者庁は、2018年1月、実際はレアキャラの出現確率が0.333%しかないのにもかかわらず、3%であるかのようにアプリ内で表示をした行為が優利誤認表示の禁止に違反するとして、アプリ配信元である企業に対して再発防止等を求める措置命令を出しています。

アプリのプロモーションについては、法律上の注意が必要

以上のように、アプリのプロモーションのついては、景品表示法の規制がかかってきます。

法律に違反してしまうと、行政から公表されてしまうこともあるので、十分注意するようにしましょう。