オンラインゲームにおいて必須のシステムである「ガチャ」「コンプリートガチャ」(コンプガチャ)については、景品表示法に抵触するとして、消費者庁から注意喚起が出されたのは、記憶に新しいところです。
オンラインゲームの「コンプガチャ」と景品表示法の景品規制について
それを受けて、一般社団法人日本オンラインゲーム協会(ガンホーやミクシィ、gumi、KLab、サイバードなどが加盟)は、ガチャに関するガイドラインを発表しています。
ガチャとめぐっては、事業者とユーザとの間で、問題になるケースが多々あります。そこで、今回は、有料ガチャをめぐる法律問題を解説します。
YouTubeでも解説しています。
そもそも、ガチャとは、100円を入れてレバーを回してカプセルが出る「ガチャガチャ」に由来するもので、オンラインゲームで、課金し、アイテムを入手できるシステム全般をさします。
ガチャ規制は、主に以下の3つあります。
懸賞による景品類の提供に関する事項の制限第5項では、次のようになっています。
二以上の種類の文字、絵、符号等を表示した符票のうち、異なる種類の符票の特定の組合せを提示させる方法を用いた懸賞による景品類の提供は、してはならない。
つまり、2種類以上のアイテムで、特定の組合せを達成した際に、特別なアイテムを「景品として」提供することを全面的に禁止しています。
いわゆる「コンプガチャ規制」というのは、このことです。
「有料ガチャで、アイテムAとアイテムB、アイテムCを揃えると、アイテムZが手に入る」というようなものは、アウトということになります。
景品表示法では、実際のものよりも著しく優良であると示し、消費者を誤認させることを禁止しています。(第4条第1項第1号)。
有料ガチャでいえば、以下のような場合は、景品表示法上の優良誤認表示にあたる可能性が高いです。
景品表示法では、価格その他の取引条件について、実際のものよりも著しく有利であると一般消費者に誤認させることを禁止しています。
「当たりだらけのガチャ」とあるのに、実際は、ほとんど「当たり」がないような場合には、有利誤認表示と認定される可能性が高いです。
日本オンラインゲーム協会では「ガチャ問題」を受けて、ガイドラインを発表しています(日本オンラインゲーム協会は公の団体ではないため、法律のような拘束力はありません。)。
しかし、オンラインゲーム業界では、有名な企業が入っていますし、仮に裁判等になった場合でも、一つの証拠として、このガイドラインが用いられる可能性もありますので、注目する必要があります。
オンラインゲーム事業者は、以下の事項について、ユーザーに分かりやすく表示することが求められています。
ガチャについては、ユーザーの射幸心をあおるもので、課金のしすぎが問題になっています。
そこで、事業者は、ガチャの設定方法について、以下の方法を守ることとしています。
いずれかのガチャレアアイテムを取得するまでの推定金額の上限は、有料ガチャ1回あたりの課金額の 100 倍以内とし、当該上限を超える場合、ガチ ャページにその推定金額または倍率を表示する。
オンラインゲームにとって、ガチャは、課金の方法としては、外せない場合が多いと思います。
だからこそ、事業者は、法律に抵触しないことは当然として、ユーザーの射幸心をあおり過ぎないような設計するようにしましょう。