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「ポケモンGO」から生じる法的問題点をIT専門弁護士が分析してみた【2020年7月加筆】

ポケモンGOによる社会問題を法的に分析してみた

「ポケモンGO」、ものすごい人気ですよね。 電車に乗っていても、周りはポケモンGOの話題ばかりということも、しばしば。 社会現象とになっている一方、様々な問題も引き起こしています。

各地でスマホの画面を見ながら、歩行するので、人とぶつかったり、立ち入り禁止場所に入ってしまったり、 ポケモンGOをしながら、車や自転車を運転していた人による交通事故が全国で相次いでいることが分かっています。

参考記事:ポケモンGOしながら運転 全国で事故36件

そこで、ポケモンGOが引き起こす法的問題について考えてみました。
※あくまで、こういう法的問題が起こる可能性があるものを列挙したもので、直ちに警察につかまったり、損害賠償請求されるといったものではありません。

歩きスマホでケガさせたら過失傷害罪?

ポケモンGOをやっていると、どうしても歩きスマホをしてしまう方が多くなってきます。

しかし、その結果、人にぶつかり、ケガをさせた場合には、民事上の損害賠償の対象となります。 また、相手に大ケガを負わせてしまった場合には、過失傷害罪(刑法209条、30万円以下の罰金等)に処せられる可能性もあります。

また、レアキャラがいるからと言って、夢中になり、ついつい他人の土地に入ってしまうなんてことも。 このような行為は、住居侵入罪(刑法130条、3年以下の懲役または10万円以下の罰金)当たる可能性があります。

レアキャラがいるとデマ情報を流すのは犯罪になるのか?

名古屋では、レアなポケモンが出たとの情報が出まわり、深夜の鶴舞公園に大量に人が押し寄せました。
参考記事:ポケストップが集中する鶴舞公園が人気!レアなポケモンもゲット!

例えば、「A公園に●●がいる」とデマを流して人が殺到した場合、どんな問題があるのでしょうか? デマを流すことそれ自体は、ただちに法律に違反するわけではありません。 ただ、お店などに「レアなポケモンがいる」とSNSなどで発信して、その結果、大量に人が押し寄せ、業務に支障をきたしたような場合には、偽計業務妨害罪に問われてしまう可能性があります。

また、商品を購入するつもりがなく、ポケモンを捕獲するためだけに、店舗などに入るような行為で、他にも多くの人が押し寄せて、店舗の営業を妨害した場合には、威力業務妨害罪(刑法234条、3年以下の懲役または50万円以下の罰金)が成立する可能性があります。

営業が妨害された店側からも、民事上の損害賠償請求が生じる可能性もあるのです。

ポケモンGOの「聖地」に中高生が深夜に集まることの法的問題点は?

ポケモンをゲットするために、中高生が深夜に公園などを徘徊するケースが多発しているということです。
参考記事:ポケGO「聖地」で少年7人補導 警察が集中パトロール

東京都では、『青少年の健全な育成に関する条例』というものがあり、18歳未満の者が、23時から翌日の朝4時までの外出について、以下のような取り決めがなされています。

保護者は、正当な理由がある場合を除いて、深夜に青少年を外出させないように努めなければならない。 深夜営業している店舗は、青少年に帰宅を促すよう努める。施設に立ち入らせないようにする。

このように、周りの大人が、注意しなければならないと規定しています。 また青少年自身も、深夜に出歩いていると、警察に補導される可能性があります。

これに犯罪行為が絡んでくると、少年法上の、「虞犯(ぐはん)少年(罪を犯すおそれのある少年)」に指定され、家庭裁判所や、児童相談所に送致・通告される可能性があるのです。

ルールを守って、楽しくポケモンGO!

以上のように、ゲームも熱中しすぎると様々な問題点が出てきます。 問題が増えてくれば規制強化などの動きも出てくるかもしれません。そうなればせっかくのゲームも楽しむことに制限がでてしまうこともあるかもしれません。

そんなことにならないように、ルールやマナーを守って楽しく、ポケモンをゲットしましょう!