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「ロボネコヤマト」配送実験へ!自動運転車を公道で実験するときの法的注意点とは?

自動運転車で荷物を届ける「ロボネコヤマト」

ディー・エヌ・エー(DeNA)とヤマト運輸は、自動運転車を使った物流サービスを開発するための実験を2017年3月に始めると発表しました。「ロボネコヤマト」と称して展開するとのことです。

参考記事:「ロボネコヤマト」未来は自動運転? 来年から配送実験

今、話題の自動運転車ですが、法律的な観点から、問題が生じます。

自動運転車はレベルが4種類ある

一言に、自動運転車といっても、自動でできる範囲によって、レベル1からレベル4まであります。


出典:官民ITS構想・ロードマップ 2015」における自動走行システムの定義

今回のロボネコヤマトは、当面はドライバーが乗車しているので、レベル2からレベル3の状態かと思います。 また、将来的には、「ドライバーがいない自動配送をにらんでいる。」とのことなので、レベル4の状態を目指すことになります。

自動運転車が事故を起こしたら、責任はどうなるの?

自動運転車が事故を起こした場合、だれが責任を取るのでしょうか? 例えば、2016年5月、自動運転車であるテスラモーターズの「モデルS」が、衝突事故を起こし、ドライバーが死亡したことが、ニュースになりました。

参考記事:Tesla Motors「モデルS」自動運転中の死亡事故はなぜ起こったか

モデルSは、完全運転のレベル4ではなく、事故当時も、必要に応じドライバーの介入を必要とする「レベル2」の半自動運転状態であり、ドライバーは常時監視が求められていたにもかかわらず、DVDを鑑賞中だったという報道があります。

レベル2、レベル3の自動車の場合には、ドライバーも注意して運転する義務がある以上、ドライバーも責任を負います。

また、テスラのモデルSの事故について、CEOのイーロン・マスク氏は、「強い日差しがトレーラーの白い車体に反射したせいで、(モデルSの)ドライバーもオートパイロットもその存在に気づかなかった」と自らの述べています。

仮に、イーロン・マスク氏の言い分の通りであったとしても、日差しが反射したことで、周りの車の状況が認識できなくなるというのは問題です。

この場合、日本であれば、メーカーには、製造物責任が問われる可能性があります。

完全自動運転車で「欠陥」が明らかでない場合

問題になるのは、レベル4の完全自動運転車の場合で、欠陥が明らかでない場合です。

上記の通り、ロボネコヤマトも、将来的には、レベル4の完全自動運転車を目指すとしています。 現在の民法や製造物責任法では、被害者が、加害者側の過失か製造物の欠陥を立証する必要があり、これが立証できないと賠償請求できないことになっています。

しかし、技術面の理解に乏しい被害者が、完全自動運転車に欠陥があることを立証することは困難です。 そうすると、「泣き寝入り」するしかないとするのは、あまりにも酷です。

警察庁の報告書にも次のように記載されています。

自動走行システムのソフトウェアに問題があると考えられる場合であっても複雑で膨大なものとなるソフトウェアの問題点を個人である交通事故被害者が証明することは困難な場合が考えられるとの指摘もあり、責任関係が複雑になることにより 交通事故被害者に対する補償が遅れることは避ける必要があるとの指摘も踏まえつつ、レベル 4の自動走行車や各レベルの自動走行車の混在時を含めた民事上の責任の在り方について、関係当局において検討される必要がある。

ロボネコヤマトも実装化…自動運転車の責任の所在を明らかにする必要

ロボネコヤマトは、2017年3月に実験がスタートします。このように自動運転車は、ますます普及していくことになります。

このような状況を踏まえ、自動運転車の責任の所在を明らかにしていく必要があるのです。