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プラットフォームサービス事業の法律が成立!その内容とは【2021年2月加筆】

IT企業のための法律

プラットフォーム事業の法律改正

特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律(以下「特定デジタルプラットフォーム取引透明化法」という。)が2020年5月27日に可決・成立し、2020年6月3日に公布されました。

公布から1年以内の政令で定める日から施行されます。デジタルプラットフォーマーと、その取引事業者やユーザとの間の取引環境に関する透明性確保等について規定しています。

【2021年2月加筆】

2021年2月1日に施行されました。

令和3年3月1日までに、事業の区分及び規模に該当するデジタルプラットフォームを提供する事業者からの届出を受け付け、今春に「特定デジタルプラットフォーム提供者」の指定が行われます。

プラットフォームの定義とは

特定デジタルプラットフォーム取引透明化法は、まず「デジタルプラットフォーム」を以下の要素を用いて定義しています。

  1. ネットワーク効果がある
  2. 両面市場である
  3. インターネットを通じて提供される取引の成立を促すための場である

これは、(1)モールやアプリストアのように出品者と購入者等の異なる利用者グループの間で相互にネットワーク効果が生じる類型と(2)広告配信のSNSのように一方の利用者グループの内部のネットワーク効果によって広告主等の他の利用者グループの効用も高まる類型とが規定されています。

特定デジタルプラットフォーム提供者とは

「デジタルプラットフォーム」の提供者のうち特に取引の透明性・公正性の向上を図る必要性が高いものとして経済産業大臣が指定する者が「特定デジタルプラットフォーム提供者」に該当します。

「特定デジタルプラットフォーム提供者」の範囲は政令で当該事業の「区分」と「規模」を定めることで特定し、経済産業大臣が提供者を指定するとされてますが、大規模なオンラインモールとアプリストアを当面の対象とすることが想定されています。

【2021年2月加筆】
物販総合オンラインモール 3000億円以上の国内売上額
アプリストア 2000億円以上の国内売上額
の事業者であることが政令で指定されました。

特定デジタルプラットフォーム提供者には、特定デジタルプラットフォーム取引透明化法の規定に従い、①提供条件等の開示の義務づけ、②利用者との間の取引関係の相互理解を促進するために必要な措置の実施義務、③経済産業大臣によるモニタリング・レビュー等の規律を受けることになります。

提供条件等の開示義務

特定デジタルプラットフォーム提供者は、ユーザー等に対して開示義務を負う。

「商品を提供するユーザー」に対しては以下のような開示義務を負います。

  1. サービス提供を拒絶する場合の判断基準
  2. 商品購入や有償サービス提供の利用を要請する場合の内容・理由
  3. 商品等提供データを取得する場合の当該データの内容及び取得・使用の条件
  4. 苦情申立や協議申入れの方法

「商品を提供するユーザー」以外の「一般ユーザー」との関係においても、以下のような開示が求められます。

  1. 商品等の情報に順位を付して表示する場合に当該順位の決定に用いられる主要事項
  2. 一般ユーザーによる商品の検索・閲覧・購入等のデータを取得・使用する場合の当該データの内容及び取得・使用の条件

また、①商品の提供ユーザーに対して提供条件によらない取引の実施の要請を行う場合、②商品の提供ユーザーに対してプラットフォームサービスの提供の一部を拒絶する場合は、その内容及び理由の開示義務があります。

さらに、①商品の提供するユーザーに対する提供条件を変更する場合、②商品の提供するユーザーに対してプラットフォームの提供を拒絶する場合には、予告期間を設けた上で、当該行為の内容及び理由を開示する義務があります。

経済産業大臣によるモニタリング・レビュー

プラットフォーム提供者は、以下の義務があります。

  1. プラットフォーム事業の概要に関する事項
  2. 苦情処理及び紛争解決に関する事項
  3. 提供条件の開示義務(前記3)の情報開示状況に関する事項
  4. 相互理解促進に基づき講じた体制・手続の整備等に関する事項
  5. (2)から(4)に関する自己評価が記載された報告書を経済産業大臣に毎年提出する

報告書を受けた経済産業大臣は、プラットフォームの透明性及び公正性について評価し、評価結果を公表するとされています。