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プラットフォームにおける発注者と受注者との間のトラブル対応と法律的義務

インターネット法律

納品したのに、お金が振り込まれない!

私は、ランサーズやクラウドワークスなどのサービスを通じて、発注者との間でコンテンツ作成について契約を締結した。納期までに依頼された記事を作成し、納品したにもかかららず、その後利用者からプラットフォーマーに対して「コンテンツが使えないからキャンセルしたい」という連絡が入ったと報告があり、代金が振り込まれない…

そんな事例が多く発生しています。

この場合、受注者及びプラットフォーマーはどのように対応すればよいのでしょうか?

受注者のとるべき行動

プラットフォーマーがエスクローサービスを採用している場合、報酬については、プラットフォーマーから支払われますから、受注者としてはプラットフォーマーに対して、経緯の説明及び納品(債務の履行)の事実を主張し、報酬の支払を求めることになるでしょう。

プラットフォーマーが仲介者としての立場を崩さず、介入してくれない場合には、発注者に関する情報開示を求め、利用者に対して直接報酬の請求をするほかはありませんが、プラットフォーマーとしても利用者側の登録情報として住所等の情報を取得していない場合もあり、法的手続に進もうとしても困難な場合も多いようです。

プラットフォーマーとしての対応

プラットフォーマーとしては、あくまで仲介なので、発注者と受注者との間で生じたトラブルには責任をもたないという立場をとる場合が多いですが、その立場を堅持することは最終的に提供者又は利用者に対して泣き寝入りを強いる結果につながる可能性があり、サービス自体のレピュテーションリスクにつながり得ることに留意すべきでしょう。

そこでプラットフォーマーがエスクローサービスを採用している場合は、債務が履行されたかどうかを自らが判断して、受注者に報酬を支払うか、それとも利用者に返金をするかを判断して処理している例も少なくありません。

したがってトラブル事案に対応する体制を整備し、両当事者に事実確認を行い、報酬を払うか返金をするかについて、根拠をもって決定できるようにしておくことが必要です。

プラットフォーマーの責任論

プラットフォーマーとしては、あくまで仲介なので、発注者と受注者との間で生じたトラブルには責任をもたないという立場をとる場合が多く、利用規約を見ると「プラットフォーマーは利用者や提供者の行動については一切の責任を負いかねる」といった趣旨の文言をよく見かけます。

しかし、このような文言がある場合でも、事案によっては利用者や提供者によるプラットフォーマーに対する責任追及が認められる場合もあるため注意が必要です。

例えば、Yahoo!オークションを運営するプラットフォーマーのユーザー(詐欺被害者)に対する責任が問題となった裁判例では、プラットフォーマーは、「欠陥のないシステムを構築してサービスを提供すべき義務を負っている」との認定がなされました。

もっとも安全なサービス提供義務の内容は具体的な状況に応じて変わり得るものであり、裁判所としては事業者であるプラットフォーマーの事業運営上の事情(対応するための費用等)について配慮した判断を行っています。

また、別の裁判例では、楽天市場を運営するプラットフォーマーの第三者(商標権侵害を主張する者)に対する責任が問題となり、裁判所は「権利侵害の申告を受けたときは、その有無を調査する義務がある」との認定をしました。

これらの裁判例から分かるのは、プラットフォーマーのこれらの義務違反(不十分な対応)によって受注者及び発注者又は第三者が損害を被った場合には、プラットフォーマー自身の責任が追及される余地があるということであり、昨今デジタルプラットフォームに対する規制の動きが活発化していることから、今後プラットフォーマーに対するさまざまな義務が課されていく可能性があるため、注視していく必要があります。