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仮想通貨交換業大手が証券業に参入!背景には2019年の仮想通貨(暗号資産)を巡る法改正が?

仮想通貨・デジタル通貨に関する法律

仮想通貨交換業者3社が、証券業に参入へ

仮想通貨交換業者が、相次ぎ証券業に参入するという報道がなされました。

仮想通貨3社、相次ぎ証券参入 金商法対象の商品拡充 

この背景には、仮想通貨をめぐる法改正の動きがあります。

今回は、仮想通貨交換業者が、証券業に参入するというニュースを、2019年の仮想通貨(暗号資産)に関する法改正の観点から解説します。

仮想通貨(暗号資産)に関する法律

現在、仮想通貨に関する法律については、資金決済法の「仮想通貨」の部分で規制されています(通称:仮想通貨法)。

現状の仮想通貨の法律については、仮想通貨やICOの法律規制と仮想通貨交換業の登録の流れを弁護士が解説を参照してください。

この法律では、仮想通貨の定義、仮想通貨交換業登録の規制などが定められています。

しかし、当時の法律では、ICOなどのスキームが想定されておらず、ICOを規制する法律はありません。また、法律施行後も、仮想通貨を使ったデリバティブ取引などの仮想通貨を使った新しい商品がリリースされていました。

従来の法律では、現状の仮想通貨ビジネスを規制することは困難として、金融庁は、仮想通貨に関する法律の見直しをすることにしたのです。

ICOトークンと仮想通貨デリバティブは、金融商品取引法の対象に?

現在(2019年3月7日)、法改正はされていません。また、仮想通貨の法改正がどういったものになるのか、詳細は明らかにされていません。

しかし、昨年末に、金融庁が主催する仮想通貨交換業等に関する研究会が「「仮想通貨交換業等に関する研究会」報告書」を公表しました。

この中には、今後の仮想通貨をめぐる法律的規制についての方向性が規定されています。

徹底解説!2019年の仮想通貨(暗号資産)とICOの法律改正の4つのポイント

この中で、一部のICOトークンについては、金融商品取引法の対象となることが明らかにされました。

ICOトークンの法改正

例えば、「ICO において発行されるトークンの購入者が発行者からの事業収益の分配等を期待し、かつ、下記1又は2を満たす場合、当該トークンが表章するとされる権利(以下「トークン表示権利」)は金融商品取引法上の集団投資スキーム持分に該当すると考えられます。」とされています。

  1. 法定通貨で購入されること
  2. 仮想通貨で購入されるが、実質的には、法定通貨で購入されるものと同視されること

つまり、トークン所持者の配当を分配するようなICOトークンについては、金融商品取引法の対象になるというものです。

イメージとして、セキュリティトークンは、金融商品取引法の対象になるというものです。よって、セキュリティトークンを販売するようば場合には、金融商品取引法上の登録が必要になります。

一方で、以下の要件を満たすトークンを発行する場合には、仮想通貨法で規制されるというものです。

  • 不特定の者に対して代価の弁済に使用でき、かつ、不特定の者を相手に法定通貨と相互に交換できること
  • 不特定の者を相手に仮想通貨と相互に交換できること

イメージとしては、ユーティリティトークンについては、仮想通貨法で規制されるいうものです。

デリバティブ取引の法改正

仮想通貨のデリバティブ取引についても、最低証拠金(取引開始基準)の設定、 資力等に照らして取引を行うことが不適切と認められる顧客との取引を制限するための措置、 顧客に対する注意喚起の徹底を求めることが提案がされています。

そして、仮想通貨のデリバティブ取引についても、金融商品取引法によって規制しようという動きもあります。

2019年は、仮想通貨(暗号資産)の法律が、大きく動く1年に

以上のように、仮想通貨法が施行されて2年経ちましたが、2019年は、仮想通貨(暗号資産)に関する法律が大きく動く可能性があります。

仮想通貨ビジネスを行っている事業者は、最新の法律の動向を注意するようにしましょう!