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OEM契約と条項のポイントを弁護士が解説

IT企業のための法律

OEM契約とは

OEM契約は、委託者が自社のサービス名で商品を販売するために、受託者であるメーカー等に商品の開発・製造を委託するとともに、製造された商品の供給を受ける契約です。

スタートアップ・ベンチャー企業では、人材や設備等のリソースが不足している場合に活用されることの多い契約です。

自社にてリソースを抱えず開発・製造できるため、低コストでの開発・製造が期待できる反面、自社ブランドの保持のための対策や自社の重要な営業秘密の流出への対策、トラブル発生の際の補償等定めておくべき事項は多数あります。

以下では、スタートアップ・ベンチャー企業において特に留意すべき条項について、条項例にも触れながら説明いたします。

目的

まずは、契約の性質がOEM契約であるということを明確なものとするため、第1条として、目的規定を定めることが一般的であり、また製造する製品の仕様について後々トラブルとなることを避けるために、契約書とは別に仕様書を作成しておくことが望ましいでしょう。

条項例

甲は、甲が販売する本製品の製造を乙に委託し、乙は、甲乙事前に合意する仕様にしたがって本製品を製造し、甲は完成した本製品を乙より買い取るものとする。

商標

商標を製品のどこにどのように付するかなどの使用態様は、ブランド保全のために明確に規定すべきものであるとともに、OEM契約の目的以外に商標が流用されることを防止する必要もあります。

条項例

  1. 乙は、甲が指示する方法・態様により、本製品及び本製品の包装材等に甲の商標を表示しなければならない
  2. 乙は、甲の事前の書面による承諾を得ることなく、本製品以外の製品に甲の商標を付し又は使用するなど本契約の目的以外に流用してはならず、甲の商標を付した本製品を甲以外の第三者に販売してはならないものとする

部品保持義務

品質保証のため、OEM契約書には、修理等の保証条項を規定しておくことが多いですが、その際、修理可能性を担保するため、部品の供給を確保すべく受託者に対し製品の部品について保持しておくよう義務付けることも重要です。

条項例

乙は、保証義務を履行するため、検査終了後3年間、甲に供給した本製品の交換又は補修用部品を甲の要望に応じて供給できるよう、保持しなければならない。

競業禁止

委託者側のベンチャー企業としては、受託者に対して、重要な技術情報やノウハウ等を提供することになりますので、それらを流用させないよう競業禁止規定を置いておくべきでしょう。

OEM契約終了後も数年は存続させる条項にしておくことも検討すべきです。

条項例

乙は、本契約期間中及び本契約の終了後3年間は、甲から事前に書面による承諾を得た場合を除き、甲以外の第三者に、本製品と同一又は類似の製品を販売し、又は製造を受託してはならない。

秘密保持

委託者側のベンチャー企業としては、重要な情報を開示することになりますので、秘密保持義務についてもしっかりと規定しておく必要があります。

条項例

  1. 甲及び乙は、本契約に基づく取引により知り得た相手方の営業上、技術上の秘密情報を、第三者に漏法又は開示し、本契約の履行以外の目的で使用又は第三者に使用させてはならないものとし、本義務に違反したことにより相手方が損害を被ったときは、その損害を賠償するものとする
  2. 前項の規定は契約終了後2年間有効とする。ただし、次の各号に該当する場合はこの限りではない。(1)相手方から事前に書面による承諾を得た場合
    (2)知得前に、第三者から秘密保持義務を負わずして知得していた場合
    (3)相手方から知得後に、開示を受けた者の責めに帰すことができない事由によって公知となった場合
    (4)知得時に既に公知となっている場合

再委託

ベンチャー企業である委託者側としては、受託者の技術力を見込んで委託していることが多いでしょうし、費用がかさむ場合も多いでしょうから、基本的には、再委託は禁止すべきでしょう。

受託者において外注を前提としており、やむなく再委託を認める場合でも再委託先に受託者と同様の義務を負わせたうえで、問題が生じた際は受託者に責任を負わせるなど対策が必要です。

条項例

  1. 乙は、甲の事前の書面による承諾なく、本製品の製造を第三者に委託してはならない
  2. 乙は、前項の甲の承諾に基づき本製品の製造を第三者に委託するときは、本契約における乙の義務と同等の義務を当該第三者に負担させるとともに、当該第三者の行為につき一切の責任を負うものとする

製造物責任

製品の欠陥により損害が生じた場合は、自社ブランドの製品である以上、損害を被った第三者との関係では、ベンチャー企業自身が矢面に立たざるを得ない場合が多いですが、その損害の賠償の最終負担者については、製造した受託者に負わせる規定を置いておき、ベンチャー企業としての負担を軽減させておくべきでしょう。

条項例

甲が第三者に対して損害賠償義務を負担するに至った場合、甲はこれにより生じた損害(第三者に対して支払った損害のみならず、対応のために支出した合理的な弁護士費用を含む。)を乙に求償することができる。