予約を入れたのに実際に来店しない…No Show問題。飲食店などでは深刻化しています。
今回は、No Show問題の法的問題とプラットフォーム事業者の責任にについて解説します。
一般的に、無断キャンセルによって顧客が飲食店に対して何らかの損害を与えた場合、債務不履行や不法行為に該当し、飲食店は顧客に対して損害賠償を請求することが可能です。
No show におけるキャンセル料(損害賠償額)算定にあたっては、コース予約の場合と席のみ予約の場合のいずれの場合でも、発生した損害を別の顧客で埋め合わせることが困難な場合が多く、顧客が時間に遅れて来店する可能性を考慮して予約時間後の平均2~3時間後まで(もしくは閉店まで)席を確保しておくことが多いという特徴がある。
飲食店は、予約客に対して、上記のような損害賠償額の算定方法について説明できるような準備をすべきで、以下の3点が満たされていた場合、キャンセルポリシーの内容が契約に組み込まれ、その内容に従った損害賠償請求が可能です。
悪質な No Show の場合、刑法犯(偽計業務妨害、詐欺罪等)が成立する余地がある。
たとえば、宿泊予約サイトでポイントを得る目的で、宿泊する意思がないのにホテルに虚偽の予約をして無断キャンセルし、ホテルの業務を妨害したとして、私電磁的記録不正作出・同供用と偽計業務妨害の疑いで逮捕された事例や、居酒屋に偽名で電話し、1人1万円のコースを17人分予約しながらも、当日来店しなかったとして、偽計業務妨害容疑で逮捕された事例等が存在する。
多くのプラットフォーム事業者は、利用規約等において、飲食店と消費者の間のトラブルにつき、自身は責任を負わないと規定しています。
さらに、飲食店と消費者との予約契約において、プラットフォーム事業者は当事者として関与しないことから、基本的に、法律的にはプラットフォーム事業者が責任を負いません。
しかし、株式会社TableCheck が2019年に行った調査によると、飲食店の無断キャンセル理由のトップは「とりあえず場所を確保するために予約」であり、次に「人気店なのでとりあえず予約」が続いています。
また、無断キャンセル時に利用していた予約手段は、店舗の公式ホームページでのネット予約や電話予約等を抑えて、「グルメサイト予約」が最多と なっています。
このような状況に鑑みれば、無断キャンセルを抑制するプラットフォーム上のシステムを設けることで、無断キャンセルの減少を期待でき、また、そのような対応がプラットフォーム事業者に対して望まれていると考えられます。
サービス予約型プラットフォーム事業者においては、No Show問題について、利用規約等に No Show を行った利用者に対して会員資格のはく奪を行うことがある旨の記載をしているものや、当該利用者の会員再登録の禁止等の具体的な対策・禁止行為を列挙するものが存在しています。
このようなプラットフォーム事業者の対応は、サービス予約型プラットフォー ム利用者による No Show の抑止の一因となりうる。
また、プラットフォーム事業者が、飲食店の No Show 防止策をサ ポートすることが考えられます。例として、自身の提供するプラットフォー ムから予約をした消費者に対し
サービス予約型プラットフォーム事業者もNo Showによる経済的な損失の軽減のため、上記のような一定の役割を果たすことが望まれているといえます。