NFTやブロックチェーンゲームにおいては、アイテム価格・価値に流動性があり、アイテムがゲーム外に流通するという特徴があります。
ここでユーザーとの対応で重要になる法律としては、次の2つが問題となります。
①優良・有利誤認表示を防ぐためには、実際よりも著しく優れたものであるとか、実際よりも有利であるという誤解を与えないことが重要です。
アイテムがどの範囲で他のサービスなどにも利用できるのかについてユーザーに認識、理解してもらうことが必須です。
また、②アイテムの価値が不変であるとか、常に上昇するような説明をしてしまうと、断定的判断の提供が問題になり得ます。
これらの問題を防ぐための説明は、利用開始時に、ユーザーとの契約に先立って利用規約やこれに伴う説明文書などで十分に行われることが必要です。
NFTやブロックチェーンの仕組みは決して一般的とはいえないので、十分な説明義務が事業者に求められます。
提供するサービスの仕組み自体を丁寧に説明することも重要でしょう。このような丁寧な説明には消費者契約法等で定められた説明義務の履行という側面もありますが、ユーザーと事業者間におけるトラブル回避の観点からも重要になります。
免責や責任限度額の設定には消費者契約法上の限界があるものの、BCGを提供するにあたり、事業者として想定している利用の範囲を明確に示しておくことも重要です。
BCG外において、ゲームアイテム等の取引市場を提供する事業者などについては、BCGを提供する事業者がコントロール出来るものではなく、関知にも限界があることは明記しておくのが望ましいです。
事業者としては、BCG外部の取引市場をどの程度把握し、取引市場との関りをどのようにユーザーに伝えるかを、事前に、十分に検討・整理しておくことが求められます。
従来のオンラインゲームにおいては、サービス終了時にユーザーが保有しているアイテム等は使用できなくなります。
しかし、サービスの提供を終了してもNFT等のアイテムは他の取引市場で使用等をすることが可能な場合があり、これに関するユーザーの期待も、一定程度保護に値すると考えられます。そのため、従来のオンラインゲームと異なるゲーム終了時の対応が必要となります。
まず、サービス終了時において、事業者に故意重過失があってもアイテムの補償を一切行わないというのは消費者契約法の観点からも認められないでしょう。
他方、行政規制ではあるものの、資金決済法上では、ユーザーが保有している“コイン”の残高を事業者が払わなければならない、払い戻し義務が事業者に課されています。
この点関しては、事業者には損害軽減義務があるといわれています。
サービス提供事業者において、アイテム等の価値がいきなりなくなってしまう事態の回避義務になります。
ユーザーの、サービス終了後も価値が残存するという期待に対応するものになります。BCGに限らず、ゲーム終了までに一定期間の猶予期間が設けることは一般的ですが、このような配慮も、損害軽減義務への対応として評価されるでしょう。
実務的には、①NFTアイテム等の特性の1つとして、提供するサービスがなくなるとアイテム等の価値が著しく低減すること、②NFTアイテム等の交換価値は市場などによって勝手に変わる可能性があるため、事業者としてはこの価値変更の補償をしないことは、利用規約や重要事項説明において説明しておくべきでしょう。