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健康食品、化粧品などでアフィリエイト広告するときに、広告主やアフィリエイターの法律的注意点

IT企業のための法律

アフィリエイターの法律的注意点

アフィリエイトとは、ブログ等のウェブサイトを運営している者(アフィリエイター)が、広告主の依頼によって広告主が供給する商品の紹介、バナー広告等を自己のウェブサイトに掲載し、そのウェブサイトを通じて広告主の商品が購入された等の場合に広告主からアフィリエイターに成功報酬が支払われる仕組みです。

景品表示法は、事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について不当な表示をすることを禁止しているので、商品や役務を供給していないアフィリエイターは、たとえ広告主が供給する商品や役務について消費者に著しく優良または有利と誤認される表示を行っても景品表示法違反にはなりません。しかし、健康増進法は、何人も健康増進効果等について虚偽誇大表示をしてはならないと定めているので、健康食品の健康増進効果等について虚偽誇大表示をしたアフィリエイターは、健康増進法に違反することになる。

また、不当表示を行った者とは表示内容の決定に関与した事業者であり、これには以下が含まれます。

  1. 自ら若しくは他の事業者と共同して積極的に表示の内容を決定した事業者のみならず
  2. 他の者の表示内容に関する説明に基づきその内容を定めた事業者や
  3. 他の事業者にその決定を委ねた事業者

よって、アフィリエイターがアフィリエイトサイトにおいて広告主の販売する健康食品について虚偽誇大表示に当たる内容を掲載した場合、広告主がその表示内容の決定に関与している場合には、広告主は景品表示法及び健康増進法に違反することになります。(健康食品ガイドライン)

このように、広告主がアフィリエイターに虚偽誇大表示等に該当する内容を伝達・指示していた場合はもちろん、アフィリエイターが自己の判断で虚偽誇大表示等に該当する表示を行った場合であっても、広告主がアフィリエイターに表示内容の決定を委ねたといえる場合には、広告主は虚偽誇大表示等を行った者になり、景品表示法や健康増進法による措置を受けることになります。

したがって、アフィリエイトによって広告する場合には、自己の商品・役務についてアフィリエイターが行う表示についても管理することが必要である。

アフィリエイターの行為で、広告主が措置命令を受けた事例

アフィリエイターが行った不当な表示について、広告主に対して景品表示法による措置命令が行われたというのがあります。

ダイエットサプリメントについて、アフィリエイトサイトで「3ヶ月で7kg落ちた方法を紹介!」等と記載するなどあたかもその商品を摂取することにより容易に痩身効果が得られるかのような表示をしていたが、実際には痩身効果を得るためには食事制限および運動を条件としており、その商品を摂取するだけでは痩身効果を得られるものではなかったというもので、広告主が措置命令を受けました(令2・3・31埼玉県措置命令「(株)ニコリオに対する件」)。

また、健康食品について景品表示法に違反する不当表示を行い、アフィリエイトを利用して広告し販売した事業者に対し、表示が景品表示法に違反するものであった旨の消費者に対する周知徹底文書を自社サイトに掲載し、アフィリエイトサイトからのハイパーリンクによっても見られるようにすることが命じられた事件があります(平30・6・15消費者庁措置命令「(株)ブレインハーツに対する件」)。